2007 Fiscal Year Annual Research Report
褥瘡治癒促進に向けた看護技術の開発-動物モデルを用いたずれ力の実証-
Project/Area Number |
17592199
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
須釜 淳子 Kanazawa University, 医学系研究科, 教授 (00203307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真田 弘美 東京大学, 医学系研究科, 教授 (50143920)
中谷 壽男 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (60198124)
北川 敦子 東京大学, 医学系研究科, 助教 (80343185)
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Keywords | 動物モデル / 褥瘡 / 病理組織 / ずれ |
Research Abstract |
今年度の研究は,昨年度の研究結果におけるずれの負荷量が増すほど創傷の侵襲が大きくなる点に注目し,治癒過程を従来の主観的創状態評価ではなく,血流回復過程ととらえその数量化を試みたものである。 ラット褥瘡モデルを用い褥瘡作成直後の発赤部における近赤外線透過度を算出し検討した。血管を通過した近赤外線は,血中のヘモグロビンに特異的に吸収されるので,血管の信号強度が低下する。撮影した画像では皮膚や血管にコントラストがついて描写される。この画像をコンピュータで解析することで数量化できる。 この結果,近赤外線透過度相対値は,壊死部を呈する部位において31〜71%,壊死を呈さない部位において90〜122%の値が得られ,2分化することができた。このことからそれぞれの治癒過程をたどる部位の相対値を2分する分離値を設定し,その予測妥当性を検討したところ,壊死を呈すると予測される部位において平均75.0%の一致度がみられた。以上より,肉眼的に違いを判別することが困難な発赤部においても近赤外線透過度を用いることで治癒過程の予測が可能となることが示唆された。以上の結果から,ずれを受けた部分に生じる皮膚損傷の重症度とその治癒を客観的に評価するツールへの示唆を得た。今後の課題として以下が挙げられる。1.近赤外線撮影は,皮膚または創部に密着することが測定条件となる。しかし,この条件は,感染に対する問題点,繰り返し圧迫になる問題点を生じた。今後,非接触方式による測定方法の開発が必要である。2.創傷悪化の分離値は外力負荷6時間持続の1実験設定から得たものであり,他の設定またはヒトに該当するかは不明である。
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