2005 Fiscal Year Annual Research Report
基礎看護教育における統合的視点から見た医療事故生成プロセス防御モデル
Project/Area Number |
17592204
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
兵藤 好美 岡山大学, 医学部, 助教授 (90151555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 共子 岡山大学, 文学部, 教授 (40227153)
田中 宏二 岡山大学, 教育学部, 教授 (00087983)
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Keywords | ヒヤリハット体験 / ヒューマンエラー / リスクマネージメント / 日常生活エラーパターン / 活動性 / のんきさ / Medical SAFER / P-mSHELL |
Research Abstract |
1.医療事故生成プロセス関連要因に関するレビュー 医療現揚のヒューマンエラーについての論文を収集し、これらの結果の整理分析を進めた。主に、a)医療現場でのヒューマンエラーの実態について、b)ヒューマンエラーの誘因・要因について、c)医療現場で行われているリスクマネジメントについての研究についてまとめた(学会誌へ投稿予定)。今後、さらに重要な視点として、さまざまな誘因・要因やリスクマネジメントの影響や効果を構造的に把握するため、質的調査のみでなく、量的データによる分析が必要であると考えられる。 2.医療事故生成プロセスにおける日常生活におけるエラーパターン尺度の概念的妥当性の再検討 日常生活におけるエラーパターン尺度の概念的妥当性の再検討のため、2005年8月に学部生を対象とした質問紙調査を行った。活動性・のんきさ尺度との相関分析を行った結果、活動性と脱落エラー、取り違えエラーとの間に負の相関が、のんきさと脱落エラーとの間に正の相関がみられた。海保(1999)は、活動的でのんきな人が誤りをすると指摘しているが、本結果では活動性とのんきさで異なる傾向が示された。これについては項目の内容などから、今後慎重に解釈を行う予定(学会発表予定)。 3.医療事故生成プロセス防御モデル作成に向けて・質的研究のまとめ これまでの新人Nsの面接調査で得られたデーターを、Medical SAFERの手法を用い、時系列に注目した事例分析をおこなった。更に背後要因を明らかにするために、P-mSHELLモデルによる分析を加えた。その結果、環境要因では急な呼び出しや電話等の業務への割り込みがあり、仕事に集中できないこと、また準夜の時間帯はスタッフの人数が少ない上に忙しく、聞きたいときに聞けずに戸惑い、ヒヤリハットが起こりやすい状況にあることが明らかになった。看護師本人の要因としては、事故予防のために2度3度にわたる確認作業を心がけてはいるが、疲労の上、時間的な切迫等の要因が重なり、確認作業が脱けた時に、ヒヤリハット事例が発生していることが明らかになった。 4.医療事故生成プロセス防御モデル作成に向けて・量的研究の準備・実施: 倫理審査委員会の承認も受け、本格的に医療事故生成プロセス防御モデル作成に向けての量的研究実施を始めている。
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