2006 Fiscal Year Annual Research Report
基礎看護教育における統合的視点から見た医療事故生成プロセス防御モデル
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17592204
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
兵藤 好美 岡山大学, 医学部, 助教授 (90151555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 共子 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 教授 (40227153)
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Keywords | ヒヤリハット / 看護師 / ヒューマンエラー / 外的要因 / 内的要因 / 日常エラー / 安全態度 / ストレス反応 |
Research Abstract |
(1)前年度のヒヤリハットの研究レビューから得た知見に基づき、医療現場の現職看護師558名を対象に、質問紙調査を実施した。その結果、180の質問紙が回収され(回収率:32%)、有効回答数157を基に分析を行った。結果は、次に示す通りである。 ヒヤリハットの誘因が、看護師のストレス反応を媒介としてヒヤリハットへと結びつく間接的な効果が示された。また、疑問に思ってもそのままやってしまうことがある、といった黙従性がヒヤリハットを促進する可能性が示唆された。逆に、アサーション能力やソーシャルサポート、自己効力感などはストレス反応の低減に関連しており、間接的にヒヤリハットを減少させる要因であることが示された。また、日常的にエラーを起こしやすい傾向の看護師は、ストレス反応が増加しており、ヒヤリハットに間接的に影響を及ぼす要因であることが示された。 (2)第1回目の調査では回収率が低く、共分散分析に耐えられるだけのデーター数が集まらなかったため、更に2施設に調査を依頼し、データーを追加した。現在、より安定したモデルの構築を目標に、データーの分析を行っている。 (3)新人看護師のヒヤリハットの原因認知について検討するために、インタビュー調査を行い、グラウンデッドセオリーによる分析を試みた。その結果、組織的要因や業務特性、作業状況、看護師の内的状況がヒヤリハットの原因として抽出された。これらの要因の関連を見ると、看護師自身がヒヤリハットを食い止める最後の防波堤としての役割を強く認知している傾向が示唆された。今後、新人看護師を対象としたインタビュー調査によって、さらなるデータの追加を行うとともに、ベテラン看護師との認知の違いについても検討が必要である。 (1),(3)の研究結果は、2006年11月3日〜5日に福岡国際会議場(九州大学主催)で行われた日本心理学会第70回大会において発表したものである。
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