2005 Fiscal Year Annual Research Report
医療施設外の高齢者ターミナルケアに携わる看護職者のアドボカシー実践に関する研究
Project/Area Number |
17592209
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
岩本 テルヨ 熊本大学, 医学部, 教授 (80285444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 敏子 熊本大学, 医学部, 教授 (30242746)
南家 貴美代 熊本大学, 医学部, 助手 (80264315)
有松 操 熊本大学, 医学部, 助手 (50289659)
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Keywords | 看護学 / アドボカシー / ターミナルケア / 高齢者 / 看護職者 |
Research Abstract |
平成17年度は、高齢者ターミナルケアにおける看護職者のアドボカシー実践の具体的な内容を把握するために、訪問看護ステーション及び特別養護老人ホームの看護職者を対象に面接調査を実施した。調査対象の訪問看護師は28名、平均年齢42.2±6.7歳、訪問看護ステーション勤務年数6.1±3.8年、ターミナルケアの経験16.0±20.6件であり、特別養護老人ホームの看護職者は21名、平均年齢46.5±7.0歳、特別養護老人ホーム勤務年数5.1±4.8年、ターミナルケアの経験は22.9±41.5件であった。調査期間は、平成17年10月〜現在である。 調査の結果、高齢の在宅療養者のターミナルケアにおける訪問看護師のアドボカシー実践とは、療養者の強い意思によって開始された在宅療養を安全に安楽にかつ在宅での日々を1日でも長く維持することを支えるために、看護職としての立場、看護専門能力を活用したさまざまな活動の実践であった。訪問看護師のアドボカシー実践は、 1.調整:療養者・家族の要望と医師との調整、療養者の意思を尊重するかたちでの家族間の調整、療養者の状態をアセスメントしての治療・ケアに関わる医師との調整、等 2.専門的能力を駆使した処置・ケア:疼痛緩和、清潔の保持、等 3.情報の提供:療養者の容態の家族への説明、予後の状況、救急車の呼び方、介護用品等の最新情報、等 4.社会資源の活用:家族の介護能力を見据えての社会資源の活用 5.療養者・家族の精神的支援:療養者・家族の不安・苦悩を聞く 6.専門的能力に基づく状況判断:再入院時期の決断、救急車での搬送の決断 等があった。 一方、特別養護老人ホームにおいては、入所者に認知症が多いこと、状態が悪くなると発語等の意思表示もないことから本人の意思を確認できない状況が多く、そのためターミナルケアにおける看護職者のアドボカシー実践は家族の意思を尊重するかたちで行われていた。具体的には、特別養護老人ホームの看護職者は、4.社会資源の活用は少なかったが、訪問看護師と同様、1.調整、2.専門的能力を駆使した処置・ケア、3.情報の提供、5,療養者・家族の精神的支援、6.専門的能力に基づく状況判断を実施していた。しかし、それらの実践に当たって、家族と入所者の意思のズレの可能性、近親者のいない入所者等を考慮し、より入所者本人の意思を大切にするために、入所者の日々の生活過程を見ながら本人の思いに近づく、表情の変化を見逃さない等の技を用い、さらにターミナルケアに関する決定においては医師だけではなく入所者の日々の生活状況を知る介護職を含めたチームでの話し合いの結果に基づくという形をとっていた。
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