2005 Fiscal Year Annual Research Report
看護学教育における倫理教育の内容と方法に関する研究
Project/Area Number |
17592223
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Japanese Red Cross College of Nursing |
Principal Investigator |
濱田 悦子 日本赤十字看護大学, 看護学部看護学科, 教授 (10208580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 康子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (50198991)
谷津 裕子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 助教授 (90339771)
吉田 みつ子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 講師 (80308288)
佐々木 幾美 日本赤十字看護大学, 看護学部, 講師 (90257270)
西田 朋子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 助手 (20386791)
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Keywords | 看護倫理 / 倫理学 / 哲学 / 看護学 |
Research Abstract |
今年度は、国内外の倫理教育等に関する文献検討、倫理学の専門家へのヒアリング調査、国内で看護倫理教育を実施している看護系大学に実施内容等のヒアリング調査を行った。 文献検討から明らかになったことは次の通りである。「看護倫理」はナイチンゲール誓詞の中でその基盤が確立され、1950年にはアメリカ看護協会で初めて「看護師の規律」が採択され、1953年には国際看護師協会が倫理綱領を作成し、その後幾度か修正されてきた。しかし、看護倫理そのものは未だ明確な定義がされておらず、看護倫理に含まれる要素、必要な視点については、「倫理学」「生命倫理や医療倫理と看護倫理の相違」等の観点から検討する必要性が明らかになった。生命倫理や医療倫理と看護倫理の相違等を検討した結果、倫理的意思決定の方法論については、(1)Beauchamp&Childressによる医療倫理の原則論、(2)Jonsenの四分割法(手順論)、(3)物語論等があるが、看護は日常生活に根ざした問題を扱うため、これらの方法論では看護倫理に関わる現象を扱うには限界があることが見いだされた。 倫理学の専門家からのヒアリング調査では、看護における倫理を考える場合、様々な環境ないし状況におかれている患者、看護師、医師が関わりあう中での「状況の中での倫理」を考えることが重要であることが確認された。ことに看護おける「状況倫理」を考えるうえでは、現象学はその基礎としての人間観を提供しうること、現象学的人間論に基づいて看護理論を展開したP.Benner/J.Wrubelの看護論は有用であること、看護倫理を考える場合には、「人(対象)をどのように捉えるか」という視点なくして看護倫理の枠組みを考えることは困難であること明らかになった。 また、看護系大学における看護倫理教育の実施内容に関するヒアリング調査から、実施内容の現状の一部を把握することが出来た。
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