2006 Fiscal Year Annual Research Report
がん看護に携わる看護師の倫理的問題への対応を支授するコーチングシステムの構築
Project/Area Number |
17592226
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Research Institution | St. Luke's College of Nursing |
Principal Investigator |
野村 美香 St. Luke's College of Nursing, 看護学部, 准教授 (80276659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 由香 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 講師 (20389125)
石井 智子 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 助手 (30389126)
要田 郁美 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 助手 (50389128)
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Keywords | 癌 / 看護学 / 倫理学 / 現任教育 |
Research Abstract |
一般病院においてがん看護に携わる看護師が経験する倫理的問題への対応を支援するコーチングシステムを構築することを最終目的とする研究の2年目にあたり、(1)研究フィールドにおけるがん看護上の倫理的問題の分析、(2)コーチングシステムの骨子の構築に取り組んだ結果、次の成果が得られた。 1.一般病院において治療を受けるがん患者の場合、診断後に続く治療過程における意思決定に関する問題、緩和ケアへの移行に関する意思決定の問題などが存在していた。そこには、いくつかのずれが存在しており、患者・家族間、患者・医療者間、家族・医療者間、医療者間のそれぞれの様相において生じていた。詳細な事例分析の結果、意向の異なる双方を結ぶコミュニケーションの場の設定が必要とされていることがわかった。看護師のコミュニケーション能力、調整能力への自信のなさも障害であると示唆された。また、倫理的な感受性の個人差が、問題を看過する土壌を作ることも示唆された。 2.倫理的問題に直面した面接結果の分析により、研究支援者となるコアグループの意見は指示された。さらに、コミュニケーション能力の問題が、個人の問題だけでなく、自由に誰もが発言できる職場風土が根付いていないことにも影響されていることがわかった。 3.先駆的な施設への情報収集は、訪問を予定していた施設の担当者と頻繁に連絡を取ることに加え、所属機関に訪問した異なる先駆的施設の研究者や実践家との意見交換を行った。その結果、日常的に起こる倫理的問題は、他職種からなる学際的な医療チームのカンファレンスで取り上げ、意見交換を十分に行うことで、患者、家族、医療者の双方に納得できる結果が得られていることがわかった。 4.上記の結果から、倫理的問題やジレンマに対するコーチングシステムとしては、自由に意見を述べにくい職場風土の改善に向けた意識改革、個々の看護師のコミュニケーション能力を高める研修、倫理的感受性を高めるとともに判断能力を高めるような事例検討を含めた研修を加える必要があることが明らかになった。
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