Research Abstract |
本研究の目的は外来で化学療法を施行するがん患者に対して構造的な支援プログラム,心理、教育的介入を実施し,その効果を検討することである。心理教育的介入として,(1)セルフ、モニタリング法を利用した副作用症状コントロール法(2)パンフレットでの教育(3)ビデオでの副作用対処法(4)電話連絡,情緒的介入として(5)簡易呼吸法の実施指導(6)積極的傾聴である。 効果指標は(1)気がかり評定尺度,自己効力感尺度,QOL尺度による調査(2)主観的な面接で行った。 対象者はA大学病院で初めてのがん化学療法を外来で行う患者であり,対照群はパンフレットでの教育,介入群は上記(1)〜(6)を施行する者である。対照群と介入群の化学療法のタイプや疾患をほぼ統一したため最終的には,両群ともに,13名(対照群は男性6名,女性7名,平均年齢57.3歳:介入群は男性4名,1女性9名であり,平均年齢52.2歳)に減少した。疾患は,両群ともに乳がん,消化器がんが多くなっていた。 介入群の気がかり評定得点は治療前32.8点,3ヶ月後30.0点であり,自己効力得点は,治療前11.2点,治療後3ヶ月11.9点,QOL得点は治療前71.0点,治療後73.3点であった。対照群の気がかり評定得点は治療前36.2点,3ヶ月後30.0点であり,自己効力得点は,治療前9.2点,治療後3ヶ月9.1点,QOL得点は治療前66.1点,治療後68.8点であった。両群ともに気がかりが減少し,自己効力感やQOLが高くなっていた。しかし,反復測定二元配置分散分析 時間と介入の有無の結果,いずれの項目でも有意差がみとめられず介入の効果は統計学的には明らかにされなかった。主観的な評価では,フィードバックによる指導や共同目標の立案により徐々にセルフマネジメントに自信をつける様相のカテゴリがみいだされた。 今後は介入群と対照群のレジメを統一し,介入の効果を明らかにする必要性が示唆された。
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