2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17592240
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
佐々木 綾子 福井大学, 医学部, 助教授 (00313742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 昭夫 福井大学, 医学部, 助手 (50240784)
松木 健一 福井大学, 教育地域科学部, 教授 (10157282)
田邊 美智子 福井大学, 医学部, 教授 (80227199)
波崎 由美子 福井大学, 医学部, 助手 (80377449)
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Keywords | 母性育成 / 虐待防止 / 学習プログラム / 心理学 / 生理学 / 内分泌学 / 脳科学 |
Research Abstract |
平成18年度は平成17年度の研究結果をさらに発展させ,以下の2つのアプローチから研究を実施した。 【研究1】母性の育成を促進させる学習プログラムを開発,出産・育児経験のない青年期男女に実施し,その効果を心理・生理・内分泌・脳科学的に明らかにすることを目的とした。青年期男女計20名(各10名)に対し,保育園の0歳児クラスで継続的なふれあい・育児体験を実施した。また,母性育成状況を評価するために質問紙調査,母性を刺激する乳児の笑い場面・泣き場面の映像を提示し,各場面に対する反応を体験前後で比較した。その結果,1.心理学的評価:乳幼児への好意感情・育児への積極性は体験前より体験後の方が有意に高まった。STAI(状態不安)における各刺激間の比較では体験前後とも「安静」「笑い」より「泣き」の方が有意に高かった。2.生理学的評価:「泣き」は「安静」に比べ,体験前後とも交感神経の活動性が高まったことを示す心拍パワースペクトル(LF/HF)の変化率が有意に高まった。3.脳科学的評価:「聴覚刺激のみ」の結果では、体験前後において、両側上側頭葉(聴覚野)、両側下前頭葉に反応の違いがみられた。これらのことから,ふれあい育児体験を通して,乳幼児の泣き場面に接し対応するという経験の積み重ねが,母親や父親が経験する相互交渉に類似した変化を被験者にもたらしたことが予測された。 【研究2】出産・育児を経験した母親と未婚の男女の脳科学的(fMRI)反応の違いを明らかにすることを目的とした。乳幼児を育児中の母親9名と出産・育児経験のない未婚の18〜20歳の青年期男女計28名(各14名)に対し,乳児の泣き場面の映像を提示しfMRIを施行した。母親群では乳児の「泣き」に対し,共感性,情動的記憶,顔の見分け等に関する脳部位に強い活動を認め,青年期群との比較でもこれらの脳部位に反応の違いを認めた。母性を司る脳機能にはいくつかの候補が考えられるが,乳児の泣きに対するこれらの反応はその一側面を表すものと考えられる。
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Research Products
(2 results)