Research Abstract |
本研究は,未熟児(超・極低出生体重児)を出産した母親とその児の母子関係形成のための支援策を検討することを目的に,1)母親の妊娠中の状況,2)分娩時の状況と分娩が母親に及ぼした影響,3)未熟児を出産したことによる母親のストレス,4)パートナーを中心とした家族関係とパートナー(児の父親)の行動や態度及び児の同胞との関係,5)児の発育・発達の経過が母子関係に及ぼす影響とその変化について明らかにする。 I,研究方法 調査対象:1,500g未満の低出生体重児とその母親52症例。調査内容:妊娠中の状況,分娩時の状況,母親の分娩に対する印象・出産後のストレス症状,パートナーを中心とした家族関係,パートナーの行動や態度,児の発育・発達状態,母子関係の変化,育児行動と育児の印象等。調査方法:半構成的面接法による聞き取り調査と直接観察法。調査期間:出産後から児の退院後3〜5年間。 II.結果 1,出産時,母親は過度のストレス状態で,退院後も身体的・精神的なストレス症状が続く者がいる。2.初回面会時の母親の児に対する印象は,児に対して接近感情をもつ者は少なく,罪悪感をもつ者が多い。3.保育器から出ることや授乳を行うことは,母子関係確立や愛着形成の上で重要な機会となる。4.パートナーが非協力的な場合,母親は児に対して回避感情を抱きやすく,育児にも否定的な感情をもちやすい。5.児の退院直後,特に母親は児の発育・発達に対する不安が大きい。 6.児が退院後,母親は長期間児の状態について多くの不安・心配をもつ者が多く,精神的な負担となっている。7.児の後遺症や障害がわかった場合,母親の動揺や不安は大きく精神的に不安定な状態になる。出産後の母親の心のケア,母と児の愛着形成や家族全体の関係づくりや,児や育児への不安に対処する上で医療・保健機関を中心に諸機関が連携し正しい情報提供を行い支援する必要がある。
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