2006 Fiscal Year Annual Research Report
胎児異常の告知から育児期までの母親の心理的反応と対処行動に関する研究
Project/Area Number |
17592259
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
堀田 法子 名古屋市立大学, 看護学部, 助教授 (90249342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
種村 光代 名古屋市立大学, 医学研究科, 講師 (80301422)
江口 昇勇 愛知学院大学, 心身科学部, 教授 (20176762)
二宮 昭 愛知淑徳大学, コミュニケーション学部, 教授 (60132924)
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Keywords | 胎児異常 / 告知 / カウンセリング / 心理的特徴 / 臨床心理 / 病児 / 障害児 |
Research Abstract |
1.胎児異常の告知から出産後36ヵ月までの母親の不安および抑うつを調査し、健常児をもっ母親の不安および抑うつと比較検討した。胎児異常の告知を受け児を出産した母親10名および健常児を持つ母親50名を対象とした。調査内容はSTAI、SDS、調査は、告知後、出産直後、出産後6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月、24ヶ月、30ヶ月、36ヶ月の8回。告知を受けた母親のSTAIの状態不安得点,特性不安得点,SDS得点は,ともに告知時が最も高く,状態不安得点は52.8点,特性不安得点は41.5点,SDS得点は46.9点であった。そして、出産とともに得点は減少し、産後12ヶ月から18ヶ月の得点が最も低かった。健常児をもつ母親と産後の得点を比較すると,告知を受けた母親の方がすべての時期,各得点ともに低かったが,変動は大きかった。上の子どもの有無別で比較すると,告知を受けた母親は,経過中すべて上に子どもがいない人の方が各得点ともに高かったが、健常児をもつ母親の場合は,すべての時期,各得点とも高かった(母性衛生2007年4月に掲載予定)。 2.さらに、胎児異常を受けた母親14名にカウンセリングを行い、うち2名の事例研究を行った。2名は、告知から出産後1年まで、計6、7回の臨床心理カウンセリングを行った。児の病気を現実的に認識(受容)できたケース(A氏)とできなかったケース(B氏)で比較検討し心理的特徴が明らかになった。確定診断が困難な場合は、受け入れがたい内容であること、曖昧な表現をされたことなどから「産んでみないとわからない」と現実を否認していた。一方、確定診断を受けた場合は「ショックで夫とともに車の中で泣いた」が、治療の方向性も提示されたことで現実の認識ができたと考えられる。確定診断の有無が現実の認否に影響し、現実認否が医療従事者への信頼や自責のあり方にも影響していた。本研究は、現在執筆中である。
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