2005 Fiscal Year Annual Research Report
終末期がん患者の生きる力を育むスピリチュアルケアの探求
Project/Area Number |
17592275
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | St. Luke's College of Nursing |
Principal Investigator |
射場 典子 聖路加看護大学, 看護学部, 助教授 (00258980)
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Keywords | スピリチュアルケア / ホスピスケア / 緩和ケア / 終末期看護 / 終末期がん患者 / 患者-看護師関係 |
Research Abstract |
本研究は、看護師の語りを通じて、終末期がん患者に提供されるスピリチュアルケア(以後、SC)を言語化し、そのケアの技とそれを成立させうる要因について探求しようとするものである。 今年度は、(1)国内外のSCに関する文献レビュー、(2)看護師に対するヒアリング調査を実施し、(3)緩和ケア病棟における参加観察とインタビューを開始した。 文献レビューでは、まずSCの関連概念であるhopeの概念分析を行った。次にspirit-をkeywordとして、レビューを行った。その結果、スピリチュアリティという現象が非物質的で、多面的、文化的、文脈的であることにより、その定義は一つの確定したものがないこと、多数の関連概念の定義との重複があることがわかった。 国内の文献レビューからは、わが国の宗教的・文化的背景の中で、欧米でスピリチュアリティの背景にあるような人間観・世界観が明確ではなく、SCの使われ方にも混乱が見られることがわかった。一方で、 SCが輸入された概念であるという背景を持ちながらも、その重要性の認識から、自己や人間が生きるということに関わる根源的なものとして、わが国独自の定義の試みがいくつかあることも明らかになった。現在、臨床的にもスピリチュアリティという現象が捉えられるようになり、研究的に取り組まれる段階に至っていると考えられた。 ヒアリング調査は、3名の看護師に実施し、終末期医療の場でSCという概念が定着しつつも、現場の看護師はSCが特別なケアであるという認識を持っており、個人によってSCの捉え方が多様であるため、SCが言語化される内容に差があることがわかった。そのため、参加観察を伴うインタビューがデータ収集法として不可欠であることが示唆された。 現在、6名の看護師に参加観察とインタビューを開始しており、来年度に継続してデータを収集し、現象学的な方法論に基づいて記述を行っていく予定である。
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Research Products
(1 results)