2006 Fiscal Year Annual Research Report
痴呆高齢者家族の効果的な社会資源の活用を実現する支援方法開発のための質的研究
Project/Area Number |
17592291
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山本 則子 千葉大学, 看護学部, 助教授 (90280924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石垣 和子 千葉大学, 看護学部, 教授 (80073089)
鈴木 育子 山形大学, 医学部, 助教授 (20261703)
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Keywords | 高齢者 / 認知症 / 家族 / 社会資源 / 介護支援専門員 / 質的研究 |
Research Abstract |
本研究は、認知症高齢者および家族による社会資源の利用プロセスを明らかにし、社会資源の適切な活用を阻害または可能にする要因を概念化することを目的として調査を実施した。 訪問看護ステーション等の利用者からインタビュー対象を募り、調査参加の意思を確認を得た上で、インタビューを実施した。介護者へのインタビューでは、認知症高齢者を介護する家族の介護上の困難の経験およびそれに伴う社会資源利用(あるいは非利用)のプロセスを訊ねた。介護支援専門員へのインタビューは、該当する介護者への支援の経験に限って語ってもらうようにした。グラウンデッドセオリー法に基づく質的分析を行って社会資源利用および社会資源利用支援のプロセスを概念化した。 今年度も8組のインタビューとその分析を実施した。家族による社会資源の利用の障壁は、1)介護支援専門員側の要素、2)利用者の要素、3)家族の要素、4)その他の要素、とまとめられ、これらの様相とこれらに対する対処法は利用するサービスの種類によって異なっていた。家族のみでの介護に限界を感じるまで頑張ってからサービス利用を考える家族もあり、それには複数の理由が関わっていた。まず、介護支援専門員との関係の開始に苦労する家族があった。利用者の意向はサービス利用に反映するが、どの程度反映するかは主介護者と利用者の続柄により異なるようだった。サービス利用の開始には、利用者の老いに対する受容が利用者・家族のどちらにも必要である様子が伺われた。サービス利用による経済的な負担について言及する家族も見られた。 介護支援専門員による支援には、利用を少しずつ拡大して抵抗感をなくしてゆくという漸増的なアプローチが多様に見られた。非看護職の介護支援専門員は、サービス利用を支援するにあたり、利用者の身体状況に関する見通しがつかないことを不自由感として語る者が複数みられたが、特にそのようには感じていない者もあり、多様であった。
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