2006 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者虐待事例への介護支援専門員の初期の支援に対する認識に関する研究
Project/Area Number |
17592292
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Research Institution | Kan azawa University |
Principal Investigator |
表 志津子 金沢大学, 医学系研究科, 講師 (10320904)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐伯 和子 北海道大学, 医学部, 教授 (20264541)
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Keywords | 高齢者虐待 / 介護支援専門員 / 判断 / ケアマネジメント / 支援者サポート |
Research Abstract |
家庭にいて要介護高齢者を虐待する者の多くは,介護者である息子や娘,嫁である。虐待されている高齢者の88.6%は家族と同居していることから,介護保険サービスの導入だけでは,虐待の根本的な解決には至らない。 本研究の目的は,介護を必要とする高齢者に対して介護を担当する家族が虐待していることを察知したときに,介護支援専門員が感ずる困難の内容を分析することである。研究方法は,グラウンデッドセオリーアプローチを用いた。研究参加者は居宅介護支援事業所に介護支援専門員として3年以上勤務し,虐待事例を担当したことのある介護職の介護支援専門員である。データ収集は2004年10月から2006年1月に実施し,非構造化面接法を用いた。参加者は21名,全員女性であった。抽出されたカテゴリーは6つであり,介護者である‘虐待者と対峙することが怖い',‘虐待者との間に心理的な壁が存在する'という認識があった。また,‘虐待者である介護者との関係を維持しなければならない'役割の一方で,介護支援専門員の介入で‘家族関係に波風を立てたくない'と認識していた。そして,‘虐待の根底にある家族関係への介入には至れない',‘虐待家族にも家族の絆はあると信じたい'と認識があった。これらから,‘介護支援専門員の理念ではたちうち出来ない虐待者への無力感'という中核カテゴリーが抽出された。 介護支援専門員の役割そのものが困難感を生じる一因であると示唆された。よって,外部への相談支援を求められる体制作りと、事例によっては担当者を交代するという検討が必要であると考えられた。また,虐待家族への介入に関する介護支援専門員の役割の明確化と,虐待家族への介入手法の構築が必要である。
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Research Products
(2 results)