Research Abstract |
近年,学校には,スクールカウンセラー,看護師,栄養教諭,特別支援教育コーディネーターなどの新しい職種が導入されている。特に医療的ケアを要する児童生徒のケアには,さらに学校医,主治医,作業療法士,理学療法士,言語療法士など多職種との連携が必要となってくる。しかし,専門職の導入が急速に進みつつあるために学校の教員と専門職とのティームアプローチが十分に機能しているとはいいがたい現状がみられる。その中でも養護教諭は,健康に関する問題の校内の調整役であり,また,医療や地域の保健,福祉との連携を行うなど,連絡・調整能力(以下,コーディネーション機能とする)が従来にも増して求められる時代にある。しかし,わが国では学校保健分野のコーディネーター養成のためのプログラムは未だ開発されていない。そこで,本研究では,養護教諭が行う事例を収集して分析を行い,コーディネーション機能を明確化し,その能力を習得するためのプログラムを開発することを目的とした。 平成17年度は,予備調査として,医療的ケアを要する児童生徒が多く在籍する肢体不自由養護学校の宿泊を伴う校外学習の事例研究を行った。その結果,養護教諭のコーディネーション機能には対象事例の把握,アセスメント,計画,実施(モニタリングと修正),評価のプロセスがあることを明らかにし,「コーディネーションワークシート」を作成した。第2段階としては,広島県内の養護学校10校の養護教諭との共同研究,さらには医療的ケアの先駆的実践校を訪問して事例を収集した。収集した各事例を「コーディネーションワークシート」を用いて分析し,信頼性の検討を行った。それらのプロセスで養護教諭に求められる技能を抽出した結果,フィジカルアセスメント,他職種との連携,ティームアプローチ,ケースカンファレンス,カウンセリング,コンサルテーション等の技能が見いだされた。 これらの技能を習得するためのプログラムを開発するために,わが国の保健師のコーディネーター養成プログラムとアメリカ癌協会主催の学校保健コーディネーター養成講習会のプログラムを参考に研究を進めている。
|