2006 Fiscal Year Annual Research Report
急性期高齢患者のせん妄の予測と予防ケア・プログラムの開発
Project/Area Number |
17592307
|
Research Institution | Kanagawa University of Human Services |
Principal Investigator |
長谷川 真澄 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 講師 (80315522)
|
Keywords | せん妄 / 高齢患者 / リスク・アセスメント / 予防ケア / 急性期ケア |
Research Abstract |
本研究は、急性期の内科治療を受ける高齢患者のせん妄の発生を予測し、予防ケアを提供するための看護ケア・プログラム案を開発することを目的とした。 研究の第一段階では、入院早期のせん妄発生に関連する要因の概念枠組みを作成し、本枠組みに基づいて97人の高齢患者を対象にせん妄のリスク要因とせん妄発生との関連を探索した。その結果、年齢85歳以上、認知機能の低下、過去のせん妄のエピソード、白血球増加、飲酒習慣、身体拘束、絶食、入院治療に対する不満、見当識障害の9項目がせん妄発生のリスク要因として有意差が認められた。 研究の第二段階では、先の研究結果、および、国内外のせん妄の介入研究の文献検討から、急性期高齢患者のせん妄予防ケア・プログラムの枠組みを検討し、せん妄予防ケア・プログラム案を作成した。せん妄予防ケア・プログラム案は、プログラム対象患者の選定、入院時アセスメント、介入プログラムの計画・実施、評価という一連のプロセスで構成した。 対象患者の選定基準は、70歳以上の高齢患者で、かつ、以下のリスク要因のうち1つ以上に該当する者とした。(1)緊急入院、(2)85歳以上、(3)認知機能低下(Mスケール44点以下)、(4)過去にせん妄のエピソードがある、(5)1日1合以上の飲酒習慣、(6)絶食、(7)入院・治療に対する不満や不安の訴えがある、(8)感染を疑う所見がある(WBC増加、発熱)、(9)視覚障害(人の顔がはっきり見えない)、(10)聴覚障害(かなり大きな声で話しかけないと聞こえない)。入院時アセスメント、および、評価においては、患者の認知機能、ADL能力、せん妄の評価ツールを用いて定期的に評価し、個々のリスク要因に応じた介入プログラムを提供する。 今後は、本研究で作成したせん妄予防ケア・プログラム案を実際の高齢患者に適用し、プログラムの妥当性、有効性を検証していく予定である。
|