2006 Fiscal Year Annual Research Report
在日ベトナム人高齢者の保健福祉ニーズと保健福祉従事者の意識に関する研究
Project/Area Number |
17592313
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Research Institution | KOBE CITY COLLEGE OF NURSING |
Principal Investigator |
瀧尻 明子 神戸市看護大学, 看護学部, 助手 (70382249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植本 雅治 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (90176644)
松葉 祥一 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (00295768)
川口 貞親 九州大学, 医学部保健学科, 講師 (00295776)
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Keywords | 高齢者 / 抑うつ傾向 / 支援者 / 情報 / ネットワーク / 人的資源確保と質の向上 / 自立の場 |
Research Abstract |
1.在日ベトナム人高齢者に対する調査 これまでの調査結果を他文献と比較検討しながら分析を進めた。在日ベトナム人高齢者の就業割合は日本人の60歳代よりも低く、就業意欲も低かった。高齢者うつ尺度(GDS)で評価した抑うつ傾向について日本人高齢者、ベトナム在住のベトナム人高齢者の比較調査の結果と照らし合わせると、在日ベトナム人はGDS得点が高い傾向にあった。特に女性、家族と同居している人に高い傾向が見られた。日本語能力と抑うつとの関係は認められなかった。抑うつが身体化していることも伺えた。福祉サービスに関する情報は殆ど届いておらず、入所施設に対してネガティブなイメージが強く、家族からのケアに過大な期待を寄せていた。多くが今後も日本での生活を望んでいた。 2.在日ベトナム人を支援する保健医療福祉従事者に対する調査 ベトナム人支援の経験を持つ人12名に対する半構成的面接の内容を分析し、関わる上で困難と感じることをカテゴリ化したところ、ベトナム人側に起因する問題、通訳に起因する問題、日本人側に起因する問題に分類され、それぞれがミクロレベルからマクロレベルの問題を含んでいた。ベトナム人側に起因する問題としては<非援助者の弱い立場><コミュニケーションツールの乏しさ><情報の乏しさ><明らかでない生活実態><日本に馴染まない文化><コミュニティの存在そのもの>であった。通訳に起因する問題としては<不適切な通訳><不適切な通訳者><通訳確保の難しさ><不安定な身分>であった。日本人側の問題として<感情的巻き込まれ><言葉の不自由さ><差別・偏見><温度差のある対応><縦割り行政><制度の未整備>であった。これらの解決には「柔軟に対応できる通訳制度の確立」「支援者に対する教育体制や身分保障などによる人的資源の確保と質の向上」「人材情報ネットワークの構築」「ベトナム人の自立の場の確保」が必要である。
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