2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳血管障害患者と痴呆性高齢者の家族の介護キャリアを支える看護援助マニュアルの開発
Project/Area Number |
17592320
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kochi Women's University |
Principal Investigator |
池添 志乃 高知女子大学, 看護学部, 講師 (20347652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野嶋 佐由美 高知女子大学, 看護学部, 教授 (00172792)
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Keywords | 介護キャリア / 良循環 / 悪循環 / 影響要因 |
Research Abstract |
1.研究課題:脳血管障害患者や認知症高齢者を内包し、生活の再構築に取り組む家族が活用しているサービス、家族のケア行動、ケアニーズを明らかにし、さらに家族の介護キャリアを促進あるいは困難にしている理由や背景について明らかにする。 2.研究方法:既存の在宅療養や介護継続、介護負担等に関する文献検討を行い、家族の介護キャリアを促進、困難にしている要因についてまとめる。さらに、半構成的面接法により、A県内に在住する、脳血管障害の病者や認知症高齢者を在宅で主に介護している15名を対象にデータ収集を行う。 データ分析として、逐語的に記録し、継続的比較分析法に基づいて行い、ケースごとに介護キャリアの発展を促進している理由、背景および困難にしている理由や背景についてデータ抽出を行い、カテゴリー化していく。倫理的配慮として、対象者の自立の尊重、害の回避・利益の促進、プライバシーの保護などの視点について配慮した。 3.結果:生活の再構築に取り組む家族の介護キャリアに影響する要因として、以下の4つの要因が明らかになった。まず、生活の再構築に取り組む家族の介護における悪循環を断ち切るだけの影響要因をもつものであり、介護キャリアを促進している要因として、"限界枠の形成・介護のみの生活の限界の認識"、"認められる・肯定的フィードバック"、"病者との関係性の確信"がある。また、介護キャリアを促進する要因としての良循環への影響要因としては、"病気や介護の見通し"、"経済的側面の制約"がある。次に、悪循環、良循環どちらにも影響を及ぼしているものとしては、"家族の歴史的文脈の中で築いてきた価値観"、"スティグマの存在の認識"、"病者の病状・ADLの変化"、"家族の関係性"がある。 そして、生活の再構築に取り組む家族の介護における悪循環をもたらし、介護キャリアを困難にしている要因としての悪循環への影響要因には、"他者からの評価に対する不当感"、"他者とのつながりの希薄化、軋礫の存在"がある。 これらの家族の介護キャリアを促進あるいは困難にしているものを基盤として、さらに疾患や状態による相違と共通性を明らかにしていくことを今後の研究課題とする。
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