2006 Fiscal Year Annual Research Report
施設高齢者の言語的コミュニケーション推進に向けての教育とその効果の検討
Project/Area Number |
17592328
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
深谷 安子 東海大学, 健康科学部, 教授 (20238447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 幸代 東海大学, 健康科学部, 助教授 (70153690)
鈴木 和子 東海大学, 健康科学部, 教授 (10297228)
北村 隆憲 東海大学, 法学部, 教授 (00234279)
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Keywords | 言語的コミュニケーション / 施設入所高齢者 / 介護老人福祉施設 / 介護療養型医療施設 / 声かけ |
Research Abstract |
本研究は、1.看護・介護職員に対して、タイプII声かけ(家族や昔の話など社会生活の営みに必要な声かけ)の必要性について教育的介入を実施し、その効果を経時的に検討する。2.看護・介護職員の声かけと施設特性、並びに職員特性との関連性の検討を目的とした。目的1に関しては2007年度に国際学会にて発表した。目的2にかんしては現在の分析途中であるが、今年度の学会に発表予定である。 研究方法; 調査対象は、介護療養型医療施設(3施設39名)介護老人福祉施設(3施設34名)の合計73名とした。高齢者の基本属性は男性19名、女性54名、年齢は64歳から100歳までの平均84.5歳である。 調査は、高齢者と看護・介護職員の1日(9時〜17時)の言語的コミュニケーションを記録し、逐語録を作成した。介護療養型医療施設での調査は第1回調査、教育的介入1週間後に第2回調査、介入3ヶ月後に第3回調査を実施した。なお介護老人福祉施設での調査は初回のみとした。教育的介入方法は、介護療養型医療施設の全看護・介護職員を対象に、職員の声かけの現状とその背景、「タイプII声かけ」の重要性についての講義と、現状の声かけの改善方法についてのグループディスカッションとした。分析は看護・介護職員の声かけの種類を分類し、それぞれの所要時間と回数を算出し、教育的介入前後の変化及び施設特性との関連性に関して統計学的に検討した。解析はSPSSver12を用い、対応のある場合のt検定、ANOVA、ピアソン績率相関係数を行なった。 結果; 1人の高齢者に対する職員の1日の声かけの種類はタイプI声かけが73.84%、タイプII声かけが26.16%であった。声かけ時間は、タイプI声かけが平均932秒(SD551.9)と比べ、タイプII声かけは平均282秒(SD242.0)と少なかった。声かけ時間の施設種類別では、介護療養型医療施設の平均1084秒に比べ介護老人福祉施設は平均1391秒と有意に多くなっていた。声かけの種類ではタイプI声かけは介護老人福祉施設が平均1078秒と、療養型病床群の平均802秒より有意(p<.05)に長かった。タイプII声かけは介護老人福祉施設が平均313秒、療養型病床群が256秒で、両者に有意差は認められなかった。教育的介入前後の声かけ時間の変化は、介入前の平均1136.1秒(SD672.7)と比べ、介入1週間後は平均1328.2秒(SD903.9)に増加していたが有意差は認められなかった。しかし介入3ヶ月後は平均914.3秒(SD5882)で介入1週間後より有意(p<.05)に減少していた。
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