2006 Fiscal Year Annual Research Report
3次元CG技術とトラディショナル技法の融合によるセルアニメーション制作手法の確立
Project/Area Number |
17600014
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
熊谷 武洋 山口大学, 教育学部, 助教授 (20335780)
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Keywords | Animation / Education / Motion Capture |
Research Abstract |
6.1 本研究の成果 本研究の目的は、実用的な表現方法としてモーションキャプチャのデータを最大限に活用し、省略化と誇張化された動きを自動的に描出することである。 まず第一段階として標本化された連続フレームから、作画上重要なキーとなるフレームを抽出し、次いでモーションキャプチャの動きとキーフレームを抽出してスプライン補間した動きの差異の評価とその結果について考察と作業を行った。モーションデータの全てのフレームについて、回転量変化の大きいフレームをキーフレームの候補としてマーキングした。これらの作業を各部位全てについて行った。それらを一覧化し、最も多くの候補を持つフレームをキーフレームとみなした。その結果、これらの方法の組み合わせでキーとなるフレームを高い精度で抽出することが出来た。 次に第二段階として抽出したキーフレームのポーズに対して加工処理を行うことについて考察した。アニメーションにおける"らしい動き"とは、実際の運動との物理的整合性ではなく、人間が視覚や身体感覚によって心に描くメンタルイメージ、つまり運動表象が影響していると仮定した。このことをふまえ、ポーズの量子化や静止慣性によるのこし効果などを処理する手順を考察した。その結果、標本化されたままの状態ではみられることのなかった誇張された動きを得ることが出来た。 次に第三段階としてキーフレームとフレームのタイミングを変えてフレーム全体を再配置し、時間のデフォルメを行うことについて考察した。限られた作画枚数で効果的に動きを見せるには、動きの連続性を均等にではなく、偏りをもたせる必要がある。キーフレームの中で最も重要なキーに対し、その前後のキーを設定した閾値で調整しながら、近接もしくは遠隔させることによりタイミングに緩急を付けた。その結果、視覚効果の高い動きを得ることができた。そしてこれらの方法を計算機にプログラムとして実装するために厳密に手順化することができた。 これらの手法の有効性を検証するために試作アニメーション画像を制作し、実験参加者として30名の大学生を対象として印象評定実験を行った。そして評定平均値からプロフィール曲線を作成し、試作アニメーションと手描きアニメーション画像の心理的な近似性を検証した。その結果、ほぼ同じ印象評価結果を得ることができた。 よって、実用的な表現方法としてモーションキャプチャのデータを最大限に活用し、手描きアニメーションの動きのニュアンスを自動的に描出するという本研究の目的は達成されたものと結論する。
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Research Products
(1 results)