2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17600019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
中村 透 琉球大学, 教育学部, 教授 (20101454)
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Keywords | 音楽創造 / 三線奏法の開発 / 沖縄胡弓の独奏 / 古箏の伝統奏法と現代奏法 / 国際情報交換 / 中国 |
Research Abstract |
本研究の目的は、沖縄の伝統的な音楽様式のなかから、音楽創造に向けてとくに楽器の新しい奏法とその表記法を開発することにある。方法論としては、沖縄の楽器奏法がもつ身体技法を応用的に発展させるとともに、類似構造の楽器をもつ中国・韓国の独自の奏法を研究し、その技法を移植させるための基礎資料を作成することであった。 今年度、沖縄の奏法開発については沖縄県立芸術大学琉楽科大学院生と、国立劇場おきなわ研修生の協力を得ながら、三線・胡弓・笛・琉球箏曲・太鼓の、楽器合奏としての新しい語彙の開発を探求した。音源材料として収集した中国・韓国の楽器奏法に関する映像・専門書等を参考にしながら、複数三線による異相のアンサンブル表現、ハーモニックス奏法を含む新しい奏法を試行した。また、従来は、歌三線への付随的な地位にとどまっていた沖縄胡弓を、独奏楽器としての独自の表現力を試みた。これらの試行はいずれも、研究協力者の創作作品として試演され、現在その経過と分析を研究者自身が論考化している。 中国の伝統楽器古箏Gu-zhengと笛子Tihの高度な技法をもつ奏法の調査は本研究に極めて有意義であった。中国・上海音楽学院での調査では、この楽器の専門的な奏者の協力で、ほぼ4日に渡る演奏の映像と、奏法及び教授法に関する詳細なデータを得られた。とくに古箏の伝統的様式が、地域・歴史性によって五つの流派があり、その音楽様式が各地の言語(音調性)と生活文化に深く関わっていることは、重要な知見であった。また、同音楽院の附属中・高校では、伝統楽器による大合奏の授業にも参加し、現代の作曲家による伝統楽器のための合奏作品が、演奏として練り上げられてゆく過程を観察し、映像化することもできた。これらの収集資料は、映像編集するとともに、中間報告として記録にまとめつつある。なお韓国の音楽調査については、事前準備の関係から平成18年度に実施する。
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