2007 Fiscal Year Annual Research Report
情報処理システムとしての都市法に関する比較公法学的研究
Project/Area Number |
17601006
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
角松 生史 Kobe University, 法学研究科, 教授 (90242049)
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Keywords | 行政法 / 都市法 / 行政訴訟 / 条例 / 都市計画争訟 / 空間 / 時間軸 / 裁量統制 |
Research Abstract |
論文(1)「条例制定の法的課題と政策法務」では、(1)条例制定権をめぐるこれまでの議論をレビューし、「規範抵触論」(岩橋健定)的思考枠組みを取ることを前提として、(2)法律と条例の間にどのような「規範抵触」がありうるかについて、厳密な意味での規範抵触と法解釈のバックグラウンドルールとを区別した上で、(a)行政機関の案件処理規範(b)私人の行為規範それぞれの観点から検討した。(a)については、抵触回避解釈の方法としての「標準設定」論を分析し、(b)については、規制主体-名宛人-第三者の利害関係の法的把握を前提とした考察の必要性を述べた。2006年都市計画法改正による大規模集客施設規制にも触れ、自治体の認知的・試行的先導性を活かした創造的まちづくりのためには、法律によるデフォルト規制を厳しくして自治体の判断による規制緩和を認める制度設計の方が望ましいのではないかと主張した。 論文(2)「まちづくり・環境訴訟における空間の位置づけ」(5)「都市計画の司法統制-審査対象と時間軸の問題を中心に」では、主に都市計画分野における行政争訟のありかたについて、処分性・審査対象・原告適格などの問題を空間的側面(論文(2))時間軸的側面(論文(5))から考察した。司法審査の入口(訴訟要件)や枠組の問題を手がかりに考察したこれら論文に加え、論文(4)「判批:騒音問題と都市計画事業の適法性-小田急訴訟上告審本案判決」では、審査の密度に関わる都市計画の裁量統制手法についても検討した。 論文(翻訳)(3)では、知識・情報秩序と基本権の関係を考察する手がかりとして、ラデーア論文を翻訳した。本補助金によるドイツ出張により、同論文引用文献等の関係資料を収集し、議論の見取り図を理解した上で、より正確な翻訳に近づけることが可能になった。
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Research Products
(5 results)