2006 Fiscal Year Annual Research Report
都市再生に不可欠なマイナスストックとしての土壌汚染対策の政策(経営)効果分析
Project/Area Number |
17601012
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Research Institution | Niigata University of Management |
Principal Investigator |
深澤 郁喜 新潟経営大学, 経営情報学部, 教授 (90189910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三橋 博巳 日本大学, 理工学部建築学科, 教授 (50059862)
田中 正秀 筑波大学, 大学院・生命環境化学研究科, 助教授 (00350744)
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Keywords | 都市再生 / 土壌汚染 / 土地取引 / 都市開発 / 経営的対策 / 土壌汚染浄化 |
Research Abstract |
この研究では、わが国の環境保全に関する基本理念とその対策を、土壌汚染対策に重点を置きながら、関係者や専門家へのヒアリングや文献等の調査を通して明らかにすること、また、環境先進国と目される諸国の環境保全政策の現状を調査研究すること、それらの比較検討をし、土壌汚染対策に対する経営学的な取組の必要性を把握した上で、わが国に於ける公共団体や土地所有者等が取り得る総合対策の枠組みや在り方について研究することを目的とした。わが国に於ける環境保全は、環境基本法をベースとし、同法に基づいて策定された環境基本計画によって整合的に実施することが目指されている。地方に於ける土壌汚染対策を調査すると、環境保全に関する法的な制度が現場まで浸透しているとは言いがたい現状も窺えた。市町村には、有害物質等に関する専門技術者がいない状況もあり、現場での汚染対策実施に不安も感じられた。汚染大気や汚濁水質の浄化は生活環境改善となるが、それのみなのに対して、土壌汚染浄化はそれに加え生産機能の回復となる特性を有している。土壌汚染対策法は土地所有者等にその汚染浄化を義務付ける制度として機能している。これは汚染浄化者にはマイナス要因の消去、別言すれば、損害賠償的な負の清算としての印象を拭えない。土壌汚染浄化する者にプラスイメージが描きにくいのである。ドイツ、オランダ、ベルギーやアメリカの環境保全対策を調査すると、そこでは、国内の汚染土壌浄化にその緊急性から優先順位をつけて、国を挙げて土壌の生産機能の回復に努力していることが明らかになった。その方策として、わが国でも導入が可能と思われる浄化手法がいくつか存在した。それらを提言その他に纏めたが、土壌汚染浄化を「利害関係人負担」や「受益者共同負担」で行うなどの発想、財界団体と国との汚染浄化協定や民事制度を活用した国による浄化執行や国の環境保全専門機関による土壌汚染浄化援助システム等の浄化方策が特に印象的であった。土壌の機能的な側面に着目し、生産性を失った土壌を放置するマイナス面を解消して土壌機能回復を計った上で、その有効活用を通じて地域振興を行うなどの、土壌汚染に対する経営学的なアプローチが殊に強く印象に残った。現在の世界の土壌汚染状況に関する研究の多くは法律学的で、経営学的なものは極度に少ない。土壌汚染対策の実施例について経営学的な分析を更に深め、より実践的な提言に繋げていきたい。
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