2007 Fiscal Year Annual Research Report
「いのちの学び」を柱とする「総合的な学習」のカリキユラム開発
Project/Area Number |
17602005
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
野崎 武司 Kagawa University, 教育学部, 教授 (80201698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安東 恭一郎 香川大学, 教育学部, 教授 (20284341)
北林 雅洋 香川大学, 教育学部, 准教授 (80380137)
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Keywords | いのちの学び / 総合的な学習の時間 / カリキュラム開発 / 土体的な学び / 人間存在の深さ / 綴り方教育 / 生活教育 / 単元づくり |
Research Abstract |
本研究の目的は、「いのちの学び」につながるこれまでの教育実践をレビューし、総合的な学習の時間をうまく構成するための授業開発、カリキュラム開発を行うことにある。特に、「東京賢治の学校」の実践と基本的考え方を整理し、次の3つのポイントを整理した。(1)自然と交感する身体、自然と連続する身体、大いなる命の営みとの共鳴の重視。(2)社会の中で生きられない生に形式を与えること、内的なものと外的なもののバランスの重視。(3)すでに語られた言葉の世界(現代の日常世界)を超えて、自らの身体の生み出す言葉を語ることの重視。このポイントをもとに大学で「生活科研究」の実践授業を行った。そこから、「総合的な学習の時間」を取り巻く聞題を以下のように整理した。(1)生活の中の気づきから生まれる学びの世界を子どもたちに実感させること。そのために、教師がそれを実感していること。(2)自然との一体感を呼び戻すには、目常の生活空間とは異界であるような現場での農作業など身体活動め深い体験が必要であること。(3)人間の過剰さへの気づきを「自分を問い直す」方向へ導くことは難しいこと。(4)教師自身が、日常的に外部から生じる問題に対処しながら「自分を問い直すこと」、そこから溢れる「からだの中からつくり出した言葉」をもって世界の区切りを動かそうと努める姿勢が大切であること。「いのちの学び」のカリキュラムのコアとなる内容として、(1)自然は人間のいのちの源であること。(2)弱い人間がいのちを維持しあうネットワークが社会であること。(3)社会特に近代社会は、人間と自然の誤った関係の捉え方(世界観)を構築していること。(4)近代社会、特に資本主義は、人間の欲望や身体性を奇形化していること。(5)社会は諸生命を搾取するばかりでなく、人間間、社会階層間、国家間にまで搾取の関係を広げていること。こうしたコアは、農業体験から、地球環境問題、差別や戦争までを一貫した視座で捉える枠組みとなっている。
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