2005 Fiscal Year Annual Research Report
スルフォラファン含有食品による消化管がん予防に関するトランスレーショナルリサーチ
Project/Area Number |
17604002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
谷中 昭典 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (80272201)
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Keywords | スルフォラファン / ブロッコリースプラウト / Helicobacter pylori / 胃炎 / 胃癌 / 予防 / 抗酸化酵素 / 転写因子nrf2 |
Research Abstract |
【背景・目的】ブロッコリースプラウト(新芽)に豊富に含まれるスルフォラファンは酸化ストレス応答転写因子nrf2を活性化することにより細胞内の抗酸化酵素群を誘導し、酸化ストレスによる細胞障害を強力に防止する.一方スルフォラファンはin vitroにおいてH.pyloriに対して抗菌作用を発揮する.今年度は、H.pylori感染マウス、及びヒトH.pylori感染者において、スルフォラファン含有食品であるブロッコリースプラウト(以下BS)の摂食により胃炎が軽減されるか否か検討した。 【方法】A.マウスでの検討:H.pylori感染C57/BL6マウス(野生型、およびnrf2-/-)に対して高塩分食(7.5%NaCl)を2ヶ月間摂取させた。一部のマウスにはBSを同時に摂食させ、胃炎の程度、胃粘膜の抗酸化酵素GST、IL-1β,TNF-α発現,DNA damage(8-OHdG含有量)を検討した。B.ヒトでの検討:H.pylori感染者25名にスルフォラファン180mgを含むBS70g/日を8週間毎日摂食させ、摂食前後に便中Hp抗原(HpSA)値と血清ペプシノゲン(PG)値を測定し、H.pylori菌量と胃炎の程度を評価した。 【成績】A.マウスでの成績:野生型マウスではBS投与により胃粘膜のGSTは上昇、TNF-α,IL-1β,8-OHdGは減少した。これに伴いH.pylori菌数は減少し、胃炎は軽減し胃粘膜萎縮の進行は阻止された。BS投与によるこれらの変化はnrf2-/-マウスでは認められなかった。B.ヒトでの成績:BS投与により摂食8週後にHpSA値、PG II値の低下が認められた。 【結論】BSの継続摂取によるH.pylori胃炎軽減効果がマウスおよびヒトにおいて確認され、スルフォラファン含有食品による胃癌予防の可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)