2007 Fiscal Year Annual Research Report
スルフォラファン含有食品による消化管がん予防に関するトランスレーショナルリサーチ
Project/Area Number |
17604002
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
谷中 昭典 Tokyo University of Science, 薬学部, 教授 (80272201)
|
Keywords | スルフォラファン / nrf2 / 酸化ストレス / ヘリコバクターピロリ / 胃癌 / 大腸癌 / 予防 |
Research Abstract |
【背景・目的】機能性食品の計画的摂取による消化器がんの発症予防策を確立するために、ブロッコリーの新芽(Broccoli Sprout:BS)に含まれる抗酸化成分、スルフォラファン(SFN)の胃癌、大腸癌予防効果について基礎的並びに臨床的に検討した。【基礎的検討】方法:(1)野生型マウス、および酸化ストレス応答遺伝子nrf2欠損マウスにH.pyloriを接種し高塩分食を負荷して、胃炎を作製した。(2)別のマウスにはdextran sodium sulfate(DSS)+Azoxymethane(AOM)を投与して、潰瘍性大腸炎+大腸癌発症モデルを作製した。、これらのマウスにSFNを8週間投与して、SFNが胃炎、大腸炎の軽減、および大腸癌発症予防効果とその機序について検討した。成績:SFNの2ヶ月間投与により、野生型マウスではHp菌量の減少、およびHp胃炎とDSS大腸炎の軽減効果が認められたが、nrf2-/-マウスでは以上の効果は認められなかった。結論:SFNはnrf2を介して、酸化ストレスから消化管粘膜を保護し、胃癌、大腸癌の発症を予防することが示唆された。【臨床的検討】方法:(1)Hp感染を有するヒトボランティアに対して文書による同意を得た後、SFNを豊富に含むBSを2ヶ月間投与する臨床試験を実施し、BS摂取によるHp除菌効果の有無と胃炎軽減効果について検討した。Hp菌量は便中Hp抗原(HpSA)より、また胃炎の程度は血清中pepsinogenI/IIより定量的に評価した。成績:SFNの2ヶ月間摂取により、Hp感染者で著明なHp菌量の減少とPGI/II比の有意な上昇(Hp胃炎の軽減)が認められた。結論:SFN含有食品であるBSの定期的摂取により、Hp感染者においてHp菌量が減少し、胃炎が軽減することが確認された。【総括】以上、マウスおよびヒトを用いたトランスレーショナルリサーチの結果、SFN含有食品の定期的摂取により消化器癌が予防できる可能性が示唆された。
|
Research Products
(7 results)