2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17605002
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
菱川 泰夫 秋田大学, 名誉教授 (60028454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 徹男 秋田大学, 医学部, 教授 (90170977)
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Keywords | 習慣性飲酒 / 睡眠 / 血圧 / 自律神経機能 / 心拍変動解析 |
Research Abstract |
【目的】エタノールは睡眠構築と自律神経系の両者に影響を及ぼすことが知られている.本研究では急性のエタノール負荷が睡眠と睡眠中の心拍変動との関係に及ぼす影響について明らかにするために行った. 【方法】対象者は健康な大学生10人とした.各被験者に純エタノール換算で0(control),0.5(LD),1.0(HD)g/体重(kg)のアルコール飲料を3週間間隔で摂取させて検査を行った.検査日にはホルター心電図を装着し通常の就床時刻の100分前に飲酒させ,8時間の終夜睡眠時ポリグラフ検査を行った.心拍変動解析はMem/Calcシステムを用いて5分間を1エポックとして低周波数成分(LF:0.04-0.15Hz),高周波数成分(HF:0.15-0.4Hz)およびLF/HFを算出した. 【結果】睡眠前半でHD群ではcontrol群と比較して中途覚醒回数とREM睡眠時間は減少し(p<0.05),LD群と比較して体動時間は減少した(p<0.05).睡眠後半でHD群ではcontrol群と比較して覚醒時間と睡眠段階1の時間が増加し(p<0.05),LD群と比較してREM睡眠時間は減少した(p<0.05).心拍数はエタノール摂取量が増加するにつれて増加し(F(2,18)=25.14,P<0.001),各周波数領域のパワーは減少した(LF : F(2,18)=3.80,P=0.042,HF:F(2,18)=5.74,P=0.012).HD群ではcontrol群と比較してLF/HFは増加した(p=0.039). 【結語】急性のエタノール摂取は睡眠中の副交感神経活動を抑制し交感神経優位な状態をもたらしていた.睡眠構築は高容量のエタノール摂取により特に睡眠前半ではそれほど影響を受けていなかった.今回の結果よりエタノールは睡眠の休息としての側面に影響を及ぼすことが示唆される.この影響は習慣性の飲酒が関与する高血圧や脳血管障害などの病態生理を考える上で重要な因子の一つと推察される.
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