2005 Fiscal Year Annual Research Report
大脳基底核-橋被蓋系による睡眠調節機構の神経生理学的解析
Project/Area Number |
17605003
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
小山 純正 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (80183812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香山 雪彦 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (30035224)
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Keywords | 黒質網様部 / アセチルコリンニューロン / 脚橋被蓋核 / オレキシン / 大脳基底核 / 外背側被蓋核 / 筋トーヌス / GABA |
Research Abstract |
大脳基底核は、運動の調節、筋トーヌスの調節などに関与している。また、オレキシンは、睡眠覚醒に伴う筋トーヌスの調節に重要な役割を果たしている。本研究では、大脳基底核による睡眠調節、特に睡眠時の筋トーヌス調節とオレキシン系との関係を明らかにするため、以下の実験を行った。 1.無麻酔(頭部固定)の正常マウスにおいて、大脳基底核の出力細胞である黒質網様部(SNr)において、発火頻度が高く持続の短い活動電位を発するGABA作動性ニューロンの、睡眠・覚醒中の活動を記録した。その多くは、覚醒時とレム睡眠時に活動の上昇するタイプであった。今後は、SNrへのオレキシン入力の欠落している、オレキシンノックアウトマウスのSNrのニューロン活動を記録し、正常動物と比較する予定である。 2.除脳ネコにおいて、筋トーヌスの抑制に関与する脳幹のアセチルコリンニューロン群(脚橋被蓋核:PPT)に電気刺激を与えると、筋トーヌスの消失(muscle atonia)が起こる。この刺激に先行して、SNrにオレキシンを投与すると、刺激によるmuscle atoniaが抑制される。また、PPTへの電気刺激に先行して、PPTにオレキシンを投与しても、同様の効果が得られる。つまり、オレキシンが、SNrのGABA作動性ニューロンや、PPTのGABA作動性終末、GABA作動性介在ニューロンを促進したことにより、PPTのatonia促進系が抑制された、と考えられる。 3.これらの点を明らかにするため、PPTでの、オレキシンによるGABA放出量の変化を、マイクロダイアリシス法により測定した。PPTにオレキシンを投与すると、投与10分後からGABA放出量は上昇し、40分間にわたり、有意な上昇が続いた。この結果は、オレキシンがSNrやPPTのGABA作動系に作用してPPTのatonia促進系を抑制するという仮説を強く支持する。
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[Journal Article] Input of orexin/hypocretin neurons revealed by genetically encoded tracer in mice.2005
Author(s)
Sakurai T., Nagata R., Yamanaka A., Kawamura H., Tsujino N., Muraki Y., Kageyama H., Kunita S., Takahashi S., Goto K., Koyama Y., Shioda S., Yanagisawa M
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Journal Title
Description
「研究成果報告書概要(和文)」より
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