2007 Fiscal Year Annual Research Report
FunctionalMRIによる閉塞性無呼吸症候群患者の高次脳機能障害の検討
Project/Area Number |
17605005
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
宮崎 総一郎 Shiga University of Medical Science, 医学部, 教授 (20200157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 喜代史 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (20127038)
金井 裕彦 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (30293830)
今井 真 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (40335170)
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Keywords | 睡眠時無呼吸症候群 / fMRI / 認知機能 / 脳血流分布 / CPAP / 脳萎縮 / 前頭葉 / breath holding |
Research Abstract |
今年度の研究内容は,酸素飽和度と脈拍を指尖で測定しながら,安静臥床・覚醒状態で自発的に90秒の呼吸停止を行ったときに,脳の各部位におけるMR値の低下を比較した。これまで,近赤外線分光法が簡便で広く色々な心理パラダイムを用いた高次脳機能の研究に用いられているが,これを用いた末梢血流や代謝変化の研究ではdeoxyHb,oxyHbの変化を解釈する上で,心拍数変化は重要な制御因子の一つと考えられている。fMRIを用いた集団における認知機能研究においても、各個人の無呼吸におけるMR値の個人差を解消する上で,internal standardとなる脳部位と前頭葉のMR値の変動に関連する心拍数などの因子を時間的関連性から検討する必要がある。 長期間の睡眠時無呼吸が及ぼす脳機能変化は,すでに先行研究で指摘されているようなO_2飽和度やCO_2濃度への感受性低下と関連すると思われる。この研究では,睡眠時無呼吸症候群患者が自覚できない程度の覚醒度・注意力低下の検出を目的としているが,こうした現象は呼吸停止によるO_2飽和度やCO_2濃度に対する感受性低下(MR値の変動の正常との差異)や,治療後の神経心理検査における脳機能向上と関連すると思われた。但し,プロトコール上CO_2濃度が経皮的にしかモニターできず時間的関連性を追及するには不十分であることや,心拍数はコントロールできないこと,神経心理学的検査では包括的な脳機能変化を測定するため,定量性と相関を求めるためには複数の検査を組み合わせた上でタスクの絞り込みを行う必要があることが今後の課題である。 しかしながら,将来的にfMRIや近赤外線分光法が臨床応用されるためには,こうした問題は普遍的に起こると考えられ,これに対する基礎研究は大変少ない。明らかな脳器質的障害に対する脳血流低下や言語や運動に関連するタスクによるMR値の変化を測定する研究では,臨床的観察からその意義を解釈することができるが,健常人が一定の条件下でどのような脳機能低下を引き起こすか予測するような研究では,fMRIによるMR値の変動が最も直接的な影響を及ぼす因子とそれとは独立して変化する因子を詳細に把握することが必須と思われ,さらなる検討が必要と思われた。
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Research Products
(7 results)