2006 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠中の記憶整理仮説に基づく機能的MRIを用いた学習記憶の神経基盤に関する研究
Project/Area Number |
17605010
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
佐々木 寛 玉川大学, 学術研究所, 助教授 (70261691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 聡 山形大学, 医学部, 助教授 (80173384)
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Keywords | 学習・記憶 / 睡眠 / シナプス可塑性 / 機能的MRI |
Research Abstract |
睡眠中の記憶の固定および消去を司る神経基盤の解明を目的とし、初年度(平成17年度)は記憶の記銘課題遂行中の脳活動に着目し実験及び解析を行った。平成18年度は、記憶の再認に着目し、再認に関わる脳内過程を機能的MRIにより解析した。 使用した記憶課題は漢字二文字からなる単語の記銘課題と再認課題からなり、記銘課題と再認課題の間には24時間の間隔が置かれている。また、被験者は記銘課題と再認課題の問に7時間の睡眠をとる。記銘課題では、100個の単語と50個の記号(コントロール)がランダムな順序で視覚的に提示される。被験者への教示は「提示されたものが単語か記号かをボタンにより回答し、単語の場合はそれを記憶する」である。再認課題では、記銘課題中に提示された単語のほかに、新たな単語50個と記号50個がランダムな順序で視覚的に提示される。被験者への教示は「提示されたものが単語の場合、記銘課題中に提示されたものかを判断し、また記号の場合は記号と判断して、それらの判断をボタンにより回答する」である。再認課題遂行中にfMRIを用いて脳活動を計測し、それらのデータはSPM2 (London, UK)により解析された。 その結果、記銘課題中に提示された単語を再認課題中に正しく再認することに関わる脳活動部位(コントロールである記号提示時に対して解析)として両側海馬が同定された。また、これらの領域の活動の強さは、記銘課題と再認課題の間の睡眠の構造と関係をもつことを示唆する結果となった。以上の結果は、睡眠により記憶の固定が起こりそれを再認時の脳活動として検出できることを示すと共に、Squireによる記憶の固定に関わる海馬-皮質系記憶システムの説を支持するものと考えられる。
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