2005 Fiscal Year Annual Research Report
強制覚醒によるリバウンド睡眠誘発の分子機構に関する研究
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17605012
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
永田 奈々恵 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 分子行動生物学部門, 研究員 (80390805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黄 志力 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 分子行動生物学部門, 研究副部長 (10321704)
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Keywords | 強制覚醒 / 睡眠 / リバウンド / 断眠 |
Research Abstract |
ヒトを含む哺乳動物は、長時間労働や神経の集中による疲労で眠気を感じ、その後過剰に熟睡することが知られている。野生型マウスに対し、自発運動が低下した時に触覚刺激による強制覚醒(断眠)を行うと、その断眠時間依存的に内因性睡眠誘発物質プロスタグランジン(PG)D_2が脳内に蓄積し眠気が高まり、その後リバウンド睡眠(ノンレム睡眠とレム睡眠共に)を誘発する。また、PGD_2依存性ノンレム睡眠誘発は、PGD_2受容体(DPR)およびアデノシンA_<2A>受容体を介している。 本研究では、強制覚醒刺激によるノンレム睡眠リバウンドの誘発機構の解明を目的に、睡眠物質PGD_2やアデノシンA_<2A>受容体アゴニストであるCGS21680の脳内投与により自然な睡眠を誘発したラット脳内における睡眠関連遺伝子の発現変動をDNAチップにより解析し、発現が上昇する遺伝子の中にheat shock protein 27(HSP27)、metallothionein(MT-1)およびglial fibrillary acidic protein(GFAP)等が含まれることを見出した。HSP27およびMT-1遺伝子は、断眠処置により発現が上昇することが報告されている。そこで次に、野生型マウスに対し、明期に0時間、3時間および6時間の断眠処置を施し、定量的PCRにより、断眠直後のマウス脳における、c-fos、HSP27、MT-1およびGFAP遺伝子の発現変動を調べた。その結果、c-fos遺伝子は大脳皮質において断眠時間依存的に発現が増加していた。また、HSP27およびMT-1遺伝子は、断眠処置により大脳皮質において発現量が増加していたが、視床下部では発現量に変化はみられなかった。一方GFAPは、断眠処置により脳梁および海馬において発現が低下していた。これらの結果は、睡眠覚醒調節にグリア細胞が関与している可能性を示唆している。
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