2006 Fiscal Year Annual Research Report
強制覚醒によるリバウンド睡眠誘発の分子機構に関する研究
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17605012
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
永田 奈々恵 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 分子行動生物学部門, 研究員 (80390805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黄 志力 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 分子行動生物学部門, 研究副部長 (10321704)
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Keywords | 強制覚醒 / 睡眠 / リバウンド / 断眠 |
Research Abstract |
内因性睡眠誘発物質であるプロスタグランジン(PG)D_2やアデノシンA_<2A>受容体アゴニストであるCGS21680をラットの脳内に投与して自然な睡眠を誘発した。そして、睡眠中のラットの脳内における睡眠関連遺伝子の発現変動をDNAチップにより解析した。その結果、発現が上昇する遺伝子として、heat shock protein 27、metallothionein-1およびglial fibrillary acidic protein等のグリア細胞での発現が確認されている遺伝子を見出した。そこで、触覚刺激による6時間の断眠直後および断眠後のリバウンド睡眠時のマウス脳を、大脳皮質、脳梁、海馬、視床、視床下部に5分割し、各部位におけるこれらのグリア細胞マーカー遺伝子のmRNA発現変動を定量的PCRにより調べた。その結果、断眠直後では、マイクログリアで発現する造血器型PGD_2合成酵素(H-PGDS)のmRNA発現量は5分割した全領域で、Iba1 mRNA発現量は視床・視床下部で、オリゴデンドロサイトに発現するpi-GST mRNA発現量は大脳皮質・脳梁・視床下部で低下した。免疫組織化学においてもH-PGDSおよびIba-1遺伝子産物の免疫反応の低下が認められた。また、オリゴデンドロサイトで発現するリポカリン型PGD合成酵素(L-PGDS)は、in situ hybridizationおよび免疫組織化学により、断眠後の陽性シグナルの増強が確認できた。一方、リバウンド睡眠時にはアストロサイトで発現するmetallothionein-1のmRNA発現が大脳皮質、脳梁、海馬、視床下部で上昇した。これらの結果より、断眠中およびリバウンド睡眠中にグリア細胞のマーカー遺伝子の発現が変動することが確認できた。
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