2005 Fiscal Year Annual Research Report
OX40を標的としたアレルギー・自己免疫治療法の開発
Project/Area Number |
17607001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
村田 和子 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (20137631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 直人 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (60291267)
NDHLOVU Lishmowa C 東北大学, 大学院医学系研究科, COEフェロー (10374935)
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Keywords | 自己免疫 / 細胞補助シグナル |
Research Abstract |
目的:アレルギー・自己免疫発症機序におけるCD4+エフェクター細胞は重要な働きをする。OX40シグナルはCD8+T細胞機能や抗体産生にはほとんど影響を与えず、CD4+エフェクター細胞に選択的に関与することから、CD4陽性エフェクターT細胞の産生・生存におけるOX40の役割を明らかにすることにより、OX40を標的としたアレルギー・自己免疫治療法を検討する。 結果・考察:アレルギー・自己免疫において重要な働きをするCD4陽性エフェクターT細胞の産生には、前期の抗原依存性過程と後期の抗原非依存性過程が存在することが知られている。これまで、CD28などのT細胞補助シグナル分子のT細胞恒常性維持増殖への関与は否定的であったが、我々は、OX40L遺伝子導入マウスを用いたCD4陽性T細胞移入実験系において、OX40シグナルがCD4陽性T細胞恒常性維持増殖に促進的に機能することを見出した。また、我々が樹立した阻害性抗OX40L抗体を投与するとCD4陽性エフェクター記憶T細胞の恒常性維持増殖が抑制されるが、さらにそれに加えて抗IL-7受容体抗体を投与すると、CD4陽性エフェクター記憶T細胞の恒常性維持増殖が完全に抑制された。一方、CD4陽性ナイーブT細胞恒常性維持増殖には、上記のようなOX40とIL-7シグナルの相加効果は見られず、恒常性維持増殖におけるOX40とIL-7シグナルの役割は、ナイーブT細胞とエフェクター記憶T細胞とで異なる可能性が示唆された。他方、抗原提示細胞特異的と考えられていたOX40Lの発現が、受容体であるOX40とともに長期生存T細胞上に見られることが明らかとなった。さらにOX40L欠損T細胞の移入実験により、OX40-OX40L結合がT-T細胞相互作用を介して、T細胞生存を促進することを見出した。このことは、CD4陽性T細胞の恒常性維持にT細胞自身の有するOX40Lが自己分泌的に作用している可能性を示唆する。以上の知見から、OX40-OX40LのシグナルはCD4陽性エフェクターT細胞生存に重要であり、従ってOX40を標的とした治療は新たなアレルギー・自己免疫治療法の方向性を示す。
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