2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17611003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
島田 周平 京都大学, 大学院アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (90170943)
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Keywords | ザンビア / 過剰な死 / HIV・エイズ |
Research Abstract |
本年度は、(1)南部アフリカにおける「過剰な死」をもたらしているHIV/AIDS関係論文や調査報告書、セミナーペーパー等の収集、および専門家との情報交換を行い、(2)ザンビア中央州C村における現地調査を継続して行うとともに、(3)『アフリカ可能性を生きる農民』(単著)を執筆し、その中の第XI章「共同耕作の変化と『過剰な死』の関係」において、現地調査の成果を公表し、また(4)『アフリカ農村に於ける「過剰な死」の影響』(東北地理学会)、"Impact of HIV/AIDS in rural society of Zambia"(NHK国際放送)、『社会的脆弱性の分析試論』(総合地球環境研究所、研究報告書)等においても現地調査の成果の公表を行ってきた。 C村における継続調査では、「過剰な死」が未だ一部の世帯に限られているもののそれらの世帯では、「過剰な死」が止まることなく続いていることが明らかになった。それらの世帯の中で世帯主が死亡した世帯では、孤児の養育問題や寡婦の農業問題が深刻さを増していることが明らかになった。これは「過剰な死」にたいする農家世帯のレジリエンス(回復能力)に限界があることを暗示しており、農村社会の脆弱性増大の可能性も示唆している。 しかし同時に、C村では村の小学校の隣に国際NGOが建設した診療所が完成し、農民たちの問に「過剰な死」の拡大防止に対する期待と、エイズ検査にも前向きな姿勢を示す農民が出てきていることも明らかになった。ザンビアにおけるHIV・エイズ対策は、今ようやくこのような村レベルにも浸透しつつあると言うことであり、これらの影響については引き続き来年度も現地調査で明らかにする必要があると考える。
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