2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17611003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
島田 周平 Kyoto University, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (90170943)
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Keywords | 「過剰な死」 / ザンビア / HIV・エイズ |
Research Abstract |
今年度は、かねてより準備していた単著『現代アフリカ農村:変化を読む地域研究の試み』の出版を行い、また学士会報において「脆弱性の視点からアフリカ援助を考える」というタイトルで農村社会におけるHIV・エイズ感染症の拡大と脆弱性増大の関係について言及し、脆弱性の緩和の必要性から援助を考えることの必要性を述べた。また、国際開発高等教育機構(FASID: Foundation for Advanced Studies on International Development)の第172回BBLセミナーにおいても「脆弱性の視点からアフリカの農村開発を考える」というタイトルで講演を行い、既存の開発手法がアフリカの農村の脆弱性を高めているという視点から、アフリカの農村の在来のシステムを活用した開発への提言を行った。 研究最終年度にあたる今年度は、これまで明らかにしてきた論文や報告をまとめて最終報告書を作成した。その中では、HIV・エイズ感染症拡大の社会的影響を、脆弱性増大という観点から見直すことが必要で、それにはHIV陽性者やエイズ発症者を抱える世帯や社会の日常生活をミクロに捉えることが重要で、陽性者や発症者の日常的ケアーや生活基盤の社会的保障が大切であることを明らかにした。また、陽性者や発症者を取り巻く家族的・社会的関係のあり方が、「自発的カウンセリング・検査」(VCT: Voluntary Counseling Testing)や「抗レトロウイルス薬療法」(ART: Antiretroviral drug)といった医療行為の推進と同様に極めて重要あることも指摘した。なお、『現代アフリカ農村』は『アフリカ 可能性を生きる』とともに平成19年度日本地理学会(優秀賞)を受賞した。
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