2005 Fiscal Year Annual Research Report
低温で高い触媒効率を発揮する低温活性酵素の構造要因の解明
Project/Area Number |
17613001
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
鶴田 宏樹 神戸大学, 連携創造本部, 助教授 (20346282)
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Keywords | 低温環境 / 低温活性酵素 / フォスファターゼ / 変異体ライブラリー / X線結晶構造解析 / 疎水性相互作用 |
Research Abstract |
好冷菌Shewanella sp.の低温活性protein tyrosine phosphataseが低温で効率よく活性を発現するためには、活性中心(触媒部位及び基質結合部位)近傍構造の柔軟性維持が重要である。本研究では、本酵素の触媒部位近傍構造の柔軟性維持に寄与する構造要因を解明することを目的とした。 i)触媒部位近傍に位置し、低温活性発現に関与する部位のVal79、Val85、Ile115、Leu145、Ile307を置換した変異型酵素の酵素的特性を解析したところ、Val79をIle、Leu、Met、Pheに置換した変異型酵素のkcat値は、野生型酵素(WT)よりも低く、また、Val85、Leu145、Ile307を疎水的結合力の弱いアミノ酸に置換した変異型酵素においても、低い値を示した。一方で、I115の変異型酵素I115M、I115Fでは、それぞれWTの1.2倍、1.4倍のkcat値を示した。 ii)野生型酵素の1.2倍のkcat値を示したI115M変異型酵素の立体構造を1.5Aの分解能で決定した。その結果、I115M変異型酵素では、上記に示した5つのアミノ残基を含むループ構造の温度因子が、野生型酵素のそれに比較して上昇していることを見出した。 これらの結果から、本酵素の低温における活性発現には、金属イオンと配位するAsp78、His80、Asp114を含むループ近傍構造における疎水性相互作用の化学結合力があると推定した。 現在、上記5つのアミノ酸残基側鎖の組み合わせを変えた変異酵素のライブラリーを構築している。
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