2005 Fiscal Year Annual Research Report
単コロニーからのDNA塩基配列決定法を用いた海氷藻類群集の低温耐性酵素の解析
Project/Area Number |
17613005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
鈴木 祥弘 神奈川大学, 理学部, 助教授 (50301586)
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Keywords | 海氷藻類群集 / rbcL / rbcS / 低温耐性 / RuBisCO |
Research Abstract |
生物が「生きて活動する」温度範囲は,0〜100℃を大きく外れない.生物活動に不可欠な酵素などの反応が,液体状態の水を必要とするためである.塩分を含む海水は0℃以下でも,液体で存在する.この低温環境には微細藻類から成る海氷藻類群集(IceAlgae)が増殖する.本申請で調査地としたサロマ湖では1〜3月に結氷し,氷中でIceAlgaeが増殖する.このような厳しい低温で光合成速度が維持されるためには、鍵酵素の一つリブロース二リン酸カルボキシラーゼオキシゲナーゼ(RuBisCO)が低温へ対応していなければならない.IceAlgaeに含まれる様々な種類の藻類が全て海氷中で増殖していることを考えると,全ての種類のRuBisCOが低温耐性であり,種に依らない共通の低温耐性機構が存在すると考えられる.様々な種で低温耐性RuBisCOの一次構造を決定し比較できれば,共通の構造を発見しRuBisCOの低温耐性との関係を解析できる.RuBisCOの一次構造をコードするDNA塩基配列(rbcLとrbcS)を決定するためには,一個体から培養し,遺伝的に均一な細胞を増やしてDNAを調製しなければならない.しかし,安定した低温に生活するIceAlgaeの培養は難しく,必要な量の試料を調製できるのは一部の種に限られていた.申請者は,マイクロマニュピレーションと高効率のDNA抽出法,ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を組み合わせて,数細胞からなる微細藻類の各個体からゲノムの特定領域のDNA塩基配列を決定することに成功している.本研究ではこの方法をIceAlgaeに適用し,培養することなく,直接,低温耐性RuBisCOの一次構造を決定することを試みた.本年度は2006年2月下旬から3月上旬に結氷したサロマ湖において、海氷中より微細藻類群集を採集し、各個体からのDNAの抽出を行った。現在解析中である。また、より詳細な解析を行うために優占種数種の単離も行った。
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