2007 Fiscal Year Annual Research Report
単コロニーからのDNA塩基配列決定法を用いた海氷藻類群集の低温耐性酵素の解析
Project/Area Number |
17613005
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
鈴木 祥弘 Kanagawa University, 理学部, 准教授 (50301586)
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Keywords | 海氷藻類群集 / rbcL / rbcS / 低温耐性 / RuBisCO |
Research Abstract |
生物活動に不可欠な酵素などの反応が,液体状態の水を必要とするため,生物が「生きて活動する」温度範囲は0〜100℃を大きく外れることない.塩分を含む海水は0℃以下でも液体で存在するため,この温度でも微細藻類が増殖することが知られている.本申請で調査地としたサロマ湖でも,結氷した氷中に残された僅かな海水中で海氷藻類群集(IceAlgae)が活発に増殖し,海氷が黄色に着色することを確認した.これら微細藻類が増殖するためには,それを支える光合成が維持されていなければならない.本研究では光合成の鍵酵素の一つRuBisCOに着目し,IceAlgae酵素と常温棲微細藻類酵素を比較することで,IceAlgae酵素の特徴を明らかにした,困難な単離培養を行なうことなくIceAlgaeコロニーから直接塩基配列を決定することで,7種のrbcSと9種のrbcLを決定した.rbcSにはIceAlgae酵素に特徴的な共通の配列は認められなかったが,rbcLに特徴的なアミノ酸残基(438Aと443N)が存在することを明らかにした.酵素の立体構造をシミュレーションで,16と17番のα・ヘリックスを接続するループにあたるこれらのアミノ酸の変化が,低温での酵素の柔軟性に強く影響する可能性を示唆した
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