2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17613007
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
藤原 伸介 関西学院大学, 理工学部, 教授 (90263219)
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Keywords | 遺伝子 / 微生物 / 環境適応 / 進化 / 酵素 |
Research Abstract |
前年度に引き続いて超好熱菌Thermococcus kodakaraensisを培養温度を変えて培養し、発現してくる遺伝子の転写レベルとタンパク質レベルでの網羅的な動態解析を試みた。いくつかの遺伝子で転写後調節が示されたため、平成18年度はRNAヘリカーゼ(TK0306)とシャペロニンcpkA遺伝子に特に注目し、集中的に研究を行った。RNAヘリカーゼ(TK0306)の遺伝子発現は60℃以下の培養で特異的に誘導され、それは転写レベルでなされていた。TK0306の遺伝子を破壊したノックアウト株を構築し、生育特性を調べたところ、60℃での生育が低下し、55℃における生育はみられなくなった。このことから本遺伝子は低温での生育に必須と考えられる。本遺伝子を大腸菌で発現し、産物を精製して調べたところ、ATPase活性が認められたが、その反応至適温度は50℃であり、T.kodakaraensisの酵素の中で最も低い温度特性が見られた。また分光学的手法によりタンパク質の安定性を検討したところ、50℃で変性が始まることが認められた。また70℃以下の培養で分子シャペロニンCpkAの発現は誘導されるが、今回この遺伝子の転写開始点を特定し、リーダー領域の構造特異性を検討した。特に低温で特異的に形成される安定なステム様構造の存在を期待したが、顕著なものはみられなかった。次にcpkAのプロモーター構造を高温誘導型シャペロニンであるcpkBのプロモーターと比較したところ、数箇所の違い以外高度に保存されており、進化的に両遺伝子がパラロガスであることが示された。わずかな配列の違いにより誘導特性の違いが導かれていると考えられる。なおcpkA遺伝子の破壊株を構築できなかったことから本遺伝子は低温に限らず生育に必須な遺伝子と考えられた。
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Research Products
(4 results)