2005 Fiscal Year Annual Research Report
共生がもたらす超深海への適応:ナラクハナシガイ共生細菌の代謝機能解析
Project/Area Number |
17613010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
藤原 義弘 独立行政法人海洋研究開発機構, 極限環境生物圏研究センター, サブリーダー (20344294)
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Keywords | 海洋生態 / 共焦点顕微鏡 / 共生 / 遺伝子 / 細菌 |
Research Abstract |
ナラクハナシガイ共生細菌の代謝機能を明らかにするために,硫黄酸化に関わるSOX遺伝子の検出を試みた.16SrDNAで最も近縁なシロウリガイ類およびシンカイヒバリガイ類のSOX遺伝子情報をもとにデザインした特異的プライマーを用いてPCR法による遺伝子増幅実験を実施した.その結果,シロウリガイ類,シンカイヒバリガイ類の鰓由来トータルDNAからは顕著なPCR増幅バンドを検出したが,ナラクハナシガイ鰓由来トータルDNAからはSOX遺伝子特異的なバンドは全く検出できなかった. また代謝遺伝子の局在性を明らかにするための予備実験として,二枚貝の鰓を用いた蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)実験を実施した.予備実験には多数の試料が必要であるため,イガイ科二枚貝のヒラノマクラを用いた.これはナラクハナシガイの手持ち個体数に限りがあること,また当面新たな採集ができる可能性の低いこと,ヒラノマクラは唯一室内繁殖の可能な化学合成共生二枚貝であることによる.その結果,鰓の固定時間がFISH結果に大きな影響を及ぼすことを見出した.固定時間が長すぎる場合,DAPI染色で十分な蛍光を確認できる(すなわち十分量の遺伝子が存在する)試料を用いてもFISHによる特異的プローブ反応は確認できなかった.また固定時間が短すぎる場合,DAPI染色でもFISH実験でも明確な蛍光像を得ることができなかった.このことから,FISH実験には試料の固定時間が非常に重要であるため,試料採集後の初期固定を慎重に行う必要があることを明らかにした.なおヒラノマクラ鰓には3種類の共生細菌が存在すると推定されていたが,予備実験および電子顕微鏡観察の結果,そのうち2種類のみが真の共生細菌であると結論した.
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Research Products
(3 results)