2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトに致死的な人獣共通感染症であるE型肝炎ウイルスの実験動物における汚染調査
Project/Area Number |
17630007
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
山本 博 富山大学, 生命科学先端研究センター, 助教授 (00108797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 信泉 香川大学, 総合生命科学実験センター, 助教授 (10190779)
手塚 英夫 山梨大学, 総合分析実験センター, 助教授 (70155456)
黒澤 努 大阪大学, 医学部附属動物実験施設, 助教授 (60129997)
鈴木 昇 三重大学, 生命科学研究支援センター, 助教授 (00202135)
古谷 正人 高知大学, 医学部附属動物実験施設, 助教授 (00035437)
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Keywords | 実験動物 / E型肝炎ウイルス / サル / ブタ / ELISAテスト / 動物由来感染症 |
Research Abstract |
生命科学研究分野における大型実験動物の使用は、ヒトとの類似性および動物福祉・倫理的背景を考慮して家畜幼ブタの使用数が増加している。一方、ブタを実験動物として使用するに際し、留意すべき事項の一つにヒトに致死的な人獣共通感染症であるE型肝炎ウイルス(HEV)がクローズアップされている。従来わが国にはHEVは常在しないと言われてきたが、最近、家畜ブタ、特に実験に用いる数カ月齢の幼ブタがHEVに高率に汚染されていると報告され(Hiroaki Okamoto et al.,BBRC,289,929-936(2001))、野生シカや野生イノシシなどからヒトへのHEV感染の報告(新聞報道、Shuchin Tei, et al.Lancet 2003;362:371-73他)も相次ぎ、ブタの屠畜検査を行う保健所職員の感染も報告されていることからヒトHEVと動物との関連も含め今後の研究が注目されている。家畜ブタがイヌに代わり手術や再生医療分野など多方面の研究に利用されるケースが急増していることや野生動物におけるHEVの保菌が明らかになりつつあることから(野生のニホンザルも動物実験に使用されている)、飼育担当者や研究者への労働安全衛生上、HEV感染防止が動物実験施設に求められている。 1.HEV感染に関する情報の収集と整理 2.動物実験施設における各種実験動物のHEV感染実態の把握 我が国の動物実験施設協議会傘下(27施設)について、動物実験に使用した(使用中含)サルおよびブタ検体を収集し、HEV抗体検査を行った。 サル及びブタにつきそれぞれ総数698検体(18機関)及び総数77検体(12機関)の血清が収集された。HEV IgG抗体調査結果は下記のようであった。(陽性サンプル/検体数(陽性%))。 <サル>77/698(11.0%抗体陽性) <ブタ>37/77(48.1%抗体陽性) <その他>・イノシシ(九州由来):17/86(19.8%)(+-:4/86:4.7%)・シカ(九州由来):1/84(1.2%)(+-:3/84:3.6%) 3.動物実験および実験動物飼育管理作業上の安全対策の検討と安全管理マニュアルの作成 2006年2月24日の第2回班会議において検討を行った。動物実験施設におけるHEV感染動物への対応のため、わかりやすいマニュアル(指針)を作成し、国動協総会(2006.5.19)にて配布の予定。
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