2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17639015
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
熊田 馨 昭和大学, 保健医療学部, 教授 (00025602)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幕内 雅敏 東京大学, 医学部, 教授 (60114641)
二村 雄次 名古屋大学, 医学部, 教授 (80126888)
大橋 俊夫 信州大学, 医学部, 教授 (80020832)
森安 史典 東京医科大学, 医学部, 教授 (80191055)
門田 守人 大阪大学, 医学部, 教授 (00127309)
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Keywords | 門脈壁の構造と機能 / 門脈循環 / 肝移植 / 門脈血栓症 / 血栓溶解療法 / 肝再生 / 門脈再建術 / 造影超音波診断 |
Research Abstract |
門脈病態が決して稀なものではなく、深刻な転帰を回避するためにはより適切な診断法と治療の開発が求められているということについて、先ず調査・検討した。 往時と異り、当今は、生体肝移植に伴う門脈異常循環、門脈血栓症の合併の病態診断と治療に関心が向けられるようになった。今回の調査では肝硬変を中心とした右肝グラフトの場合、最高13%、平均6%に門脈血栓の合併がみとめられているが、この合併によりその11%は血栓の摘除・溶解を含む血行再建が奏功せずに死亡している。また腫瘍外科における門脈合併切除再建においても、端々吻合の場合には最大6%、平均4%に血栓閉塞が合併し、やはり血栓の摘除・溶解が奏功しない場合には、20%が死亡している。また、安全と思われている摘脾術でも、多い処では43%の門脈血栓が合併しており、その5%に門脈閉塞によるとおもわれる肝機能障害が合併しているが、このことは余り知られていない事実であろう。更に、硬変肝などで以前から指摘されていた門脈逆流や腎静脈などとのシヤントといった病態は肝移植術後の小さくない問題のひとつになっている。また、肝切除の適応拡大のために開発され汎く普及している門脈枝塞栓術の方法と効果予測は、未だ向上の余地が少なくない。 さて、以上に挙げた各門脈病態に対する診断法として、微小気泡造影剤を用いた超音波診断法の応用と工夫が行われたが、今後の展開には多くの期待が寄せられた。 さて、これらの臨床的問題の解決には、門脈を中心に据えた肝の微小循環研究、脾臓ビリルビン代謝、小腸吸収能・腸管リンパ輸送能、腸管免疫能・パイエル板を介したリンパ動態、門脈壁縱層筋、自発性収縮能、肝再生の検討に加えて、門脈に焦点を当てた門脈血栓機序の研究と血栓溶解療法の開発といった広域な研究組織が必須であると認められた。
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Research Products
(8 results)