2005 Fiscal Year Annual Research Report
生体情報処理における深層計算と表層計算に関する研究
Project/Area Number |
17650001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
丸岡 章 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (50005427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧本 英二 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (50236395)
天野 一幸 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助手 (30282031)
阿曽 弘具 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10005522)
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Keywords | 論理回路 / ニューラルネットワーク / 線形計画問題 / 決定二分グラフ / 単調論理関数 / しきい値回路 / 表層計算 / 深層計算 |
Research Abstract |
本研究は,生理学的な測定や認知心理学の実験から人が高度の認識を極めて少ないステップ数の計算のメカニズムの解明し,生体で行われるような様々の計算を,深層計算と表層計算とに分けて解釈するという視点から,コンピュータで再現できる程度に明確にすることを目指すものである.初年度は,主に並列計算のモデルである論理回路を対象として,基本的な問題を計算するサイズの評価や回路の設計などについて研究を行った.具体的には次のとおりである. 1 2次の論理関数を,単調論理回路や単調論理式で計算する際に必要な素子数や,積素子の個数について論じた.特に,この種の関数を単層回路で計算した場合と複層回路で計算した場合とで生ずる素子数のギャップについて解析し,これに関する幾つかの未解決問題を解決した. 2 ニューラルネットワークのモデルとして広く用いられる2層のしきい値回路を用いて論理関数を計算するのに必要なサイズを評価する問題に対して,その下界の導出を線形計画問題に帰着する新たな手法を開発した.また,提案手法を用いて,従来知られる最良の結果に匹敵する下界の導出に成功した. 3 論理回路の正当性の検証などに広く用いられる決定二分グラフを用いて,四則演算のうちの乗算を表現する,従来知られているものより優れた手法を開発した.また,計算機実験によって,提案手法がほぼ最適なサイズの決定二分グラフを生成することを確認した. 4 任意に与えられたしきい値関数に対して,真理値表の意味で最も遠い論理関数を構成する具体的手法を与えた.また,本手法の正当性の証明に際して,従来この種の議論に良く用いられてきたKruskal-Katonaの手法に依存しない,より簡潔な証明法の開発に成功した.
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