2005 Fiscal Year Annual Research Report
ネットワーク進化と分散アルゴリズム-テラ時代の分散アルゴリズム工学
Project/Area Number |
17650005
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山下 雅史 九州大学, 大学院システム情報科学研究院, 教授 (00135419)
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Keywords | 巨大分散システム / 安定性 / 統計力学的手法 / ランダムウォーク / 自己安定システム |
Research Abstract |
分散システムのエージェント数は既にギガで測られる時代にあり,テラの時代が近づきつつある.世界人口6.13×10^9の約半数がインターネットに組織されている.2006年3月時点で2×10^<10>個のホームページが存在すると推測されている.ICタグは全宇宙に存在する各粒子を識別できる程度のアドレス空間を持ち,地球そのものを超分散データベース化することさえ可能だと予感させる.このような巨大分散システムの最大の特徴はシステムが{U{成長/進化を続けている}}という事実である. 進化するネットワークはスモールワールド,スケールフリーネットワーク,パーコレーションなどのモデルを用いて,統計力学の立場から活発に検討されているが,それらはネットワーク進化を数理学対象とみなす立場からの研究であり,計算機科学,特にアルゴリズム工学の立場からの研究は全く見当たらない.申請書で設定した本研究の目的は,A)成長/進化を続けるネットワーク上の分散アルゴリズムの研究と,B)統計力学的手法を用いた安定な巨大分散システムの設計,であった. 本年度の成果の概略は以下のようにまとめることができる. 項目A)についてはつぎの通りである: 1)局所次数情報を用いる乱歩に関する我々の従来の研究を拡張して,遷移確率行列がGibbs分布に基づく乱歩を検討し,その成果を論文としてまとめ,専門誌に投稿している. 2) 1)の成果をスケールフリーネットワークの探索に適用する問題を検討し,その成果を論文としてまとめ,国際会議に投稿している. 項目B)についてはつぎの通りである: 1)確率的な議論に基づく自己安定な相互排除アルゴリズムを設計し,その成果を論文としてまとめ,専門誌に投稿した(採録決定). 2)システムが安定に動作する確率を上昇させる相互排除アルゴリズムを設計し,その成果を論文としてまとめ,専門誌に投稿した(採録決定). 3)自己組織化の問題をタイリングの問題として捕らえて研究し,その成果を論文としてまとめ,国際会議で発表した.
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