2006 Fiscal Year Annual Research Report
ネットワーク進化と分散アルゴリズム-テラ時代の分散アルゴリズム工学
Project/Area Number |
17650005
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山下 雅史 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (00135419)
|
Keywords | 巨大分散システム / 安定性 / 統計力学的手法 / ランダムウォーク / 自己安定システム |
Research Abstract |
本申請で,申請目的を説明するために,分散システムのエージェント数は既にギガで測られる時代にあり,テラの時代が近づきつつある.世界人口6.13x10^9の約半数がインターネットに組織されている.申請時点でGoogleは4.29x10^9個のホームページを検索可能であると書いた.もちろん実測されていないが,ホームページ数は既に200億(2x10^<10>)を越えて留まる所を知らない.このように,急速に変化するネットワークが本研究の対象である. この数年,申請者は巨大なネットワークの制御を統計力学の立場から研究を進めて来た.粒子の制御と計算機ネットワークの制御の大きな相違の一つは,粒子には名前が無いのに対して,従来の計算機ネットワークの制御には識別子の存在が基本的であった.そこで,本年は,特に,識別子を持たない分散システムの制御理論を構築することを目指した.すなわち,対象としたのは,匿名の大域的情報を持たないモーバイルネットワーク(匿名自律分散ロボットシステムとしても見做し得る)であり,その上の様々な合意問題を議論した.具体的には,最初に匿名モーバイルエージェントシステムにおける耐故障リーダ選挙問題を検討し,そのプロトコルを設計した.第2に,匿名自律分散ロボットシステムのランデヴー問題を検討し,局所座標系のゆらぎの程度が問題の可解性に及ぼす影響を明らかにした.匿名計算は分子計算でも本質的であり,今後,益々重要なテーマとなると期待している.これ以外にも,関連するいくつかのテーマとして,乱歩の設計やセンサーネットワークに対するプロトコルの設計を行ったので,研究発表欄にはこれらを含めて報告している
|