2005 Fiscal Year Annual Research Report
メディア間を移動することにより環境に遍在する認知システムの研究
Project/Area Number |
17650033
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Research Institution | Future University-Hakodate |
Principal Investigator |
小野 哲雄 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (40343389)
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Keywords | インターフェイス / エージェント / メディア / マイグレーション / ユビキタス |
Research Abstract |
平成18年度において、本研究では、我々の提案する遍在する認知(Ubiquitous Cognition)の概念に基づく新しいインタフェースシステム(ITACOシステム)の実験用システムを構築した。ITACOシステムとは、ユーザの個人情報を持つエージェントが、環境に存在するメディア間を移動(migrate)しながら、文脈(状況)に応じた一貫性のあるユーザ支援を行うものである。つまり、本システムのエージェントは、普段はユーザの衣服上にいてユーザと日常的なインタラクションを行うが、支援が必要になったときは衣服から環境にあるユビキタスコンピュータやロボットに移動して、一貫性のある継続的なユーザ支援を行う。 さらに、本研究で構築した実験システムを用いて、システムの有効性を検証する心理実験を行った。実験の結果、エージェントが異なるメディア間を移動しても、ユーザは特定のエージェントから一貫性のある支援を受けているという印象を持ち、エージェントに対して親しみを感じていることが明らかとなった。今後の検討課題としては、実際の生活において実用可能なソフトウェアおよびハードウェアシステムを設計し、実装していく必要がある。また、ネットワークの状況により、移動するソフトウェアモジュールを動的に変化させる機構も必要となるだろう。また、心理実験としては、人の擬人化能力、コミュニーケーションの指向性、人と人工物の関係性に焦点をあてた調査・実験を行う必要がある。
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