2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17650041
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石田 亨 京都大学, 情報学研究科, 教授 (20252489)
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Keywords | 異文化コラボレーション / 異文化間コミュニケーション / 機械翻訳 / エージェント |
Research Abstract |
平成18年度の研究開発では,機械翻訳を介した相互理解の解析を中心に行った. これまで機械翻訳システムの評価は翻訳精度に関して行われてきた.しかし,機械翻訳を介した協調作業を解析の対象とした場合,翻訳精度のみならず,翻訳の非一貫性と非対称性が協調作業の大きな阻害要因となることを参加者実験により明らかにした. 本研究では,協調作業を進める場合に,過去の作業中に現われた物事への参照が相互理解促進の鍵になると考えた.そこで,2人の異言語ユーザをペアとして,図形のマッチング課題を繰り返し与える情況において,共通言語としての英語を使用する場合と,母国語を用いる場合のデータを解析し,比較した. 解析の結果,機械翻訳を介した場合には,参照語による同定が難しくなることが判明した.この原因は,翻訳の非一貫性と非対称性にまとめることができる.ある図形を説明するときに,最初の説明で用いた表現を少しでも変更すると,それが機械翻訳を介した訳文では大きな差となって現われる.そのために,参加者は1回目の発言と2回目の発言の対応関係が取れなくなる。これが非一貫性である.一方,非対称性とは,同じ概念に言及していても,日本語から中国語に変換され,それがまた日本語に変換されると,異なる表現となってしまい,対応関係の把握が取れなくなる場合を指す. この実験により,機械翻訳を介して円滑な協調作業を行うには,翻訳精度の向上を図るだけでなく,コミュニケーションの性質に合わせた支援を行う必要があることが明らかとなった.
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Research Products
(3 results)