2005 Fiscal Year Annual Research Report
感性に及ぼす芸術作品鑑賞の影響を客観評価するための神経生理学的指標の探索
Project/Area Number |
17650058
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
久野 節二 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (70136216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十殿 利治 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (60177300)
山中 敏正 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (00261793)
大塚 定徳 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (40241814)
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Keywords | 芸術作品鑑賞 / 脳(前頭葉)活動 / 神経生理指標 / 光トポグラフィ計測 / 注視点計測 / 心拍変動 / アンケート調査 / 解析ツールソフト開発 |
Research Abstract |
実験-1で絵画作品(実物画)鑑賞時の脳活動と心拍変動を計測し、感性に与える初見性の影響を検討した。美術作品制作未経験被験者(8名)に(1)待機(2分)、(2)作品(a)鑑賞(3分)、(3)待機(2分)、(4)作品(b)鑑賞(3分)のタスクを課し、前頭葉光トポグラフィ測定と心電図を同時記録した。鑑賞開始直後に脳活動の亢進例が認められたが、個人差があった。心拍変動には絵画鑑賞との相関は観察されなかった。以上の結果は、新規絵画絵鑑賞時の脳活動の変化を示唆しているが、再現性に疑問が残る。実験-2として感性の「直感性」について未経験被験者10名を対象に次の絵画デジタル画像提示実験を行った。1試行のタスクは、モニタ上で(1)無彩色画面上の「+」を注視(15秒)、(2)画像鑑賞(5秒)、(3)印象アンケート回答(3項目、時間自由)で、1被験者に22試行連続繰り返し行い、そのための有用なコピュータ解析ツールソフトを開発した。画像には抽象画(カンディンスキー)と具象画(マチス)を選定し、この順序で交互に提示した。試行中、被験者の前頭葉の酸化ヘモグロビン量・全血流量(光トポグラフィ)と注視点(視線検出器)を同期的に記録後、同一画像の多項目印象アンケート調査を行った。この調査では、被験者全員が抽象画と具象画をそれぞれ「モチーフがわからない」及び「モチーフがわかる」と回答した。脳活動解析では、絵画提示5秒間の前頭葉平均酸化ヘモグロビン量が変化(抽象画>具象画)し、活動の増強傾向が認められ、各画像提示終了後の10秒間で、左脳活動が亢進した。注視点解析では、視点移動距離(抽象画<具象画)、注視時間(抽象画>具象画)及び瞳孔径(抽象画>具象画)で有意差が認められた。次年度は、実験-2のプロトコルで芸術学専攻所属院生を被験者に同様の計測実験を行う。今回のデータとの比較から、美術的関心度・実技経験・専門知識の有無等と感性の働きとの関連性を研究する予定である。
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