2005 Fiscal Year Annual Research Report
新規のエンドスルファターゼSulfFP遺伝子の神経発達・精神障害発症における役割
Project/Area Number |
17650089
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
桝 正幸 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (20243032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
枡 和子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (50344883)
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Keywords | 脳・神経 / 行動 / 糖鎖 / 神経科学 |
Research Abstract |
ヘパラン硫酸(HS)プロテオグリカンは、神経細胞分化やシナプス形成に重要な役割を担っている。ヒトでExt1遺伝子多型や転座と自閉症が連関している報告があること等から、HSの異常が神経発達異常や精神疾患を引き起こす可能性が考えられるが、その機序は不明である。我々は、最近、HSと細胞間シグナル分子の相互作用の要となるグルコサミン残基の6-硫酸を細胞外で特異的に分解することにより、細胞間シグナル分子の情報伝達を制御する新規のスルファターゼSulfFPを発見した。本研究は、我々が作成したSulfFP1、SulfFP2ノックアウトマウスの行動について調べることにより、SulfFP遺伝子と神経機能の関連を明らかにすることを目的としている。 SulfFP1とSulfFP2ノックアウトマウスは、酵素活性部位をコードするエクソンを破壊したものであり、酵素活性が無くなった結果HSの硫酸化パターンに変化が生じることを別の実験で確認している。マウスの行動実験の施行にあたっては、遺伝的背景を揃えることが重要であり、学習に関連した行動実験では主にC57BL/6系統が用いられている。そこで、本研究では、既にC57BL/6系統に10世代以上交配したマウスを用いて行動を解析した。本研究の申請時には、ダブルノックアウトマウスを用いた実験も計画していたが、その後の研究により、ダブルノックアウトマウスの殆どは新生児期に死亡することが明らかとなったため、単独ノックアウトマウスの行動実験のみを実施することとした。 今年度は、SulfFP1とSulfFP2を各々単独で破壊した雄ホモマウスと雄野生型マウス各20匹を、ヘテロマウスの交配によって作成し、これらを用いて実験をおこなった。ロータロッド試験、オープンフィールド試験、高架式十字迷路、明暗選択試験、ビーム試験、恐怖条件付け試験などを行い、運動、自発行動量、不安、探索行動などに関する一般的なマウスの行動全般について調べた。一部の実験で野生型とホモの間に差が見られたため、今後詳細に検討する予定である。
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Research Products
(7 results)