2005 Fiscal Year Annual Research Report
色覚研究の成果を活用した色覚バリアフリーな配色設計法の確立にむけての基礎研究
Project/Area Number |
17650091
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 啓 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教授 (00311192)
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Keywords | 色覚 / 色盲 / バリアフリー / ユニバーサルデザイン / CIE xy色度図 / 混同線 / シミュレーション |
Research Abstract |
色盲・色弱の人が見分けにくい色を示す理論的根拠となっているCIE xy色度図上の混同線は、従来は光源色について測定が行われていた。物体色においてもこれがどの程度正確に成立するのかを、特に明度情報も勘案しながら検証するため、今年度は3つのアプローチから解析を始めた。 まず、複数の色を用いて情報を伝える媒体である鉄道路線図、地図などの案内図、博物館の展示説明図などを用いて、色盲・色弱の当事者が「見分けにくい」と評価した配色と「見分けやすい」と評価した配色について、用いられている各色の色度を測色計で測定して比較した。また、xy色度図よりもデザインの現場で利用しやすい色表現法であるLab色度図上では、混同線は直線にはならないが、ほぼ水平に近いゆるやかな直線になる。xy色度図よりも色差の算出がやりやすいLab色度図上で混同しやすい色の位置関係を比較することによって、より実用的な混同色の予測を可能にする方法の端緒が得られた。 次に、より体系的な色のセットとして、東洋インキカラーファインダーという1050色のセットを用いて、これらをxy色度図上に実際に配置して比較するための準備を進めた。 最後に、色盲の見え方のシミュレーション計算式が提唱されているので、この式を用いた変換結果と混同線とがどの程度一致するかを比較することで、シミュレーションの精度を向上させるとともに、混同色の予測精度も上げることができる。しかし既存のシミュレーション計算式はどれも変換精度に難がある。そこで、複数のシミュレーション式の結果を比較して、色域ごとにどの変換の精度が高いかを比較する作業の準備を開始した。
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