2006 Fiscal Year Annual Research Report
色覚研究の成果を活用した色覚バリアフリーな配色設計法の確立にむけての基礎研究
Project/Area Number |
17650091
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 啓 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教授 (00311192)
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Keywords | 色覚 / 色盲 / バリアフリー / ユニバーサルデザイン / CIE xy色度図 / 混合線 / シミュレーション |
Research Abstract |
色盲・色弱の人が見分けにくい色を示す理論的根拠となっているCIE xy色度図上の混同線は、従来は光源色について測定が行われていた。物体色においてもこれがどの程度正確に成立するのかを、特に明度情報も勘案しながら検証するため、今年度は昨年度に続き、幾つかのアプローチから解析を進めた。 まず、現在公開されている各種の色覚シミュレーションを用いて同一の色を変換し、それらがどのような色座標に変換されるかを調べた。変換の結果、色盲・色弱の人が混同するような色にきちんと変換されるものと、混同しないような違う色に不正確に変換されてしまうものが見つかった。色覚シミュレーションの方法によって、どのような色で不正確な変換が起こるかはシミュレーションの方法やパラメーターによって異なり、全ての色域で十分に正確な色変換を行えるものはなかった。現在のシミュレーションは色を平面上の各点に射影するアルゴリズムを用いているが、曲面を用いるなどして精度を向上させる方法の開発への端緒が得られた。 また、東洋インキカラーファインダーという1050色の色票セットを用いて、これらをxy色度図上に実際に配置して比較するための準備を完了し、被験者による実験を行った。色票のどれが、何色に見えるかを答えてもらった結果、例えば赤だと感じる色の範囲が一般と大きく異なるなど、色認識の境界が大きくずれていることが分かった。これは、同じ色の中にも、一般の人には問題なくても色盲や色弱の人には違う色に見えるものと、色覚のタイプを問わず等しく同じような色に見えるものとがあることを示しており、後者の色を用いれば色誤認の可能性が減少すると思われる。 同時に、1050色の色票の中から似たように感じられる色票を選んでもらい、そのセットを作成した。どの被験者も、1050色を大体60-80種類のグループに分類した。これらのグループが原次元の色空間の中でどのように分布するかを解析するため、それらの各色の色度座標値を用いて三次元空間にプロットし、クラスター解析をするための準備を行った。
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